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「落書き」を読んだ大崎君から聞いた話。
大崎君は引越しのため荷物整理をしていた。
住んでいたアパートの間取りよりも広く、家賃も安い賃貸マンションへの転居だった。
独身で荷物が少ないため、作業は割りと早く進んだ。
さて、午後からは掃除するか。
休憩しながら部屋を見回す。
押入れの上段に何か落ちている。
なんだこれ?
それは、高校の部活を引退したときにもらった寄せ書きだった。
あれ?何でここに落ちてるんだ?
普段は本棚に収納してあったので、ここに落ちているのはおかしい。
変だなと思いながらも寄せ書きに目をやる。
・・・懐かしいな。みんな元気かな?もう何年経ったっけ?
真ん中に集合写真があって、その周りに同級生や後輩からの暖かい言葉。
どこにでもある普通の寄せ書きだ。
・・・ちゃんと持っていかなきゃ。
手に取った寄せ書きをダンボールに入れようとしたその時、裏側がちらりと見えた。
・・・あれ?裏にも何か書いてある。
裏側にもだれかメッセージをくれたのかと思い確認する。
大 崎 は 絶 対 に 江 田 を 殺 す
太字ではっきりと書かれているが、書いた人の名前がない。表のメッセージの筆跡はどれも違う。
・・・もらった時はこんなものなかった。じゃあ誰が・・・。
しばらくそれを眺めたあと、大崎君は色紙を破いて捨てた。
大崎君の知り合いに江田という苗字の人は、まだいない。
作者津軽
#gp2015