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中編4
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下半身がない落ち武者

今から書くお話は、私の地元ではとても有名な心霊スポットです

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某県某所に建つ慰霊碑がある霊園

とある戦争で、息を引き取った兵士の名前が、何万人と書き記してある慰霊碑がある

そこは霊園でもあるが、横に綺麗な公園も隣接されてあり、観光スポットとなっている。

観光ガイドには載ってないが、観光客は絶えず来ている

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公園には桜の木も植えてあり、花見の時期になると花見客で賑わいを見せる

しかし不思議と夜桜は開催されない

それもそのはず

夜になると心霊スポットに変わるからである

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私が中学生の頃だった

霊園の反対側には、雑木林を囲んだ細い路地がある

実際に行ってみたが、距離的に3キロあるかないかだったと記憶している

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そこの細い路地は、反対側の農道に通じていて利用する人はまずいない

ならば、なぜ作られたのか

昭和の初め頃、農民が霊園近くに住んでいて、畑に行く為の農民専用の道だという事である

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中学生の頃、この手の怪談話が流行っていた

近くの小さな湖のような川に、草木が覆い茂っている場所があり

そこに入ると帰れなくなるとか

その当時は怖くて、草木で茂ってる場所にすら行けなかった

しかし、大人になった今、改めて見ると草木はスカスカで、木なんて数える本数しか生えていない

子供とは、そんな小さな事でも話を盛りに盛って大きくするものだ

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話を例の霊園へ戻すとしよう

農道に通じる細い一本道

周りは雑木林で街灯などなく、昼間でも薄暗い

ここは大人でも、悠々と通れる場所ではないはずだ

実際に行けば分かるが、薄暗くなった街灯もない細い一本道を歩くには、余程の勇気と度胸が無いと無理だと思う

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中学2年の頃だった

3年の男の先輩が、例の一本道に行ったそうだ

しかも一人で…

その一本道は、ある特定の方法で進むと心霊体験をする

それは、歩くか走るかの2つだけ

自転車やバイクの時は、心霊体験はしないとか…

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そして先輩の話によると…

夕方も薄暗くなった夜…

時期的にも日が暮れる時間は違うと思うが、要は太陽が沈んだ後…

霊園側から一本道へ

暫く歩いていると、右手に慰霊らしき地蔵が建っている

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そのお地蔵様を過ぎると、急に空気が冷たくなる

空気が冷たくなったと感じた瞬間、遥か後ろの方からガシャガシャガシャと金属音なのか分からない音が聞こえてくる

振り向くと、上半身に鎧を身に纏った落ち武者が、両手を足がわりとして、物すごい速さで追いかけて来る

この落ち武者は、下半身は無い

下半身が無いため、両手を足がわりとして追い掛けるわけだ

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先輩は陸上の選手で、高校も推薦で入れるほどの実力の持ち主

その先輩が、走り切るのにやっとだったと言っていたので、その落ち武者は相当な速さで追い掛けて来るのだろう

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そして落ち武者は、追い掛けながら「そなたの足をよこせ」と叫ぶそうで…

もし捕まったら、どうなってたかと、先輩は震えながら話をしてくれた

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それを聞いた同級生のL君が、足の速さには自信がある!とか言い、いつか挑戦してやる!と意気込んでいた。

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そのL君が、夏休みの最中、列車事故に巻き込まれ、命は助かったが両足の太腿から下が、何かに切り取られたかのように、スパッと切られていた。

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L君の容体もようやく落ち着いた9月頃だった。

L君の母親から家電に電話があり「Lがアナタ達を呼んでと言ってるから」と…。

まだL君生は入院中だったが、病室へ行くと他の同級生も数名呼ばれた。

そこに呼ばれた者は、例の一本道に行った話を先輩から聞いた者だけだった。

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L君の話によると、8月の盆を過ぎた夜の7時過ぎ、日が暮れたのを確認して、自転車を近くに停めて例の一本道へ足を踏み入れた

そして、お地蔵様を過ぎた時に、急に空気が冷たくなった

夏場で空気もムシムシしていたのに、寒気がする程の冷たさだった

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そうすると、先輩から聞いたり通り「ガシャガシャガシャ」という音が後ろから聞こえてきた

振り返ると、上半身に鎧を身に纏った落ち武者が、両手を足にして凄い速さで追いかけてきた

L君も捕まるまいと、逃げまくった

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逃げたが、逃げ切れないと確信したL君は、右の雑木林へ逃げ込んだ

すると落ち武者は、一旦止まり辺りを見回した後、再び来た道を引き戻した

L君は助かったと思い、一本道横の雑木林を掻き分けながら霊園入り口に止めてあった自転車に乗り、家に向かって自転車を漕いでいた

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そして、踏切で遮断機が降り、列車の通過を待っていた時、空気が急に冷たくなったと感じた瞬間だった

L君は地面に倒された

その後は…

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車に乗っていた目撃者によると、L君は自分の自転車を横へ倒し、勝手に遮断機を乗り越え、両足を線路の上に乗せて寝転んだらしく、止めようと思い車を降りた瞬間列車が通過

列車は、止まりもせずそのまま走り去ったらしい

そして、足は太腿から下が見事に切断された

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後で家族や警察がJRに問い合わせをしたが、その時間に列車はその場所を走っていない事が分かった

不思議な出来事が起きたのだ

落ち武者は、逃げたL君を追ってきたのだろう

それに、幽霊列車も…

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ちなみに、切断されたL君の両足は、見付かってなく、残骸も血痕も残っていなかった

気味が悪い話である。

L君の体験談を聞いた同級生は、それから例の一本道に行った話は聞かない

霊園や心霊スポットの話も禁句となった

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そのL君は、リハビリに励んだ

しかし義足に馴染めず、ノイローゼになり、二十歳を待たずに、一番高いビルから投身自殺をした

葬式へ参列したが、母親の憔悴しきった顔は、40過ぎた今でも忘れられない

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仲間さん。コメントありがとうございます。
誤字脱字のご指摘もありがとうございます。
後日訂正します。

確かに、腹立たしいですね。
でもこの手のお話には、あるようでないような話ですよね。
因みに、旦那はこの件は信じてくれません(笑)
自分も行ったが、出なかったからだとか…。
確かめる勇気は有りませんが…(笑)

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足には自信がある。内緒でその秘境を教えてくれないか?…ひ…

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