幼少期に過ごした家が、凄まじいお化け屋敷で、少々の事では動じなくなっていた。怖い他には被害もなかった。その時の話はまたいつか。
その家から引越した当時、友達もおらず暇をこじらせた頭で考えついたのは、"近所で一番ヤバいお化けに喧嘩を売る"。
やったことはなんでもない、同級生の間でヤバイと噂の神社、そこで、「本当に恐ろしいお化けがいるなら、一度勝負させてくれ」
と小声で呟く。それだけだ。帰り道、いつも可愛がっていた野良猫に凄い威嚇をされた他には、変わったこともない。
その日の夜、既に神社の事は記憶の彼方、好物のカレーに満足し、早々に眠りについた。
何時か分からないが、気配を感じて、突然ぼんやりと覚醒した。誰かが部屋にいる?
見回すも、人影らしきものは見当たらない。
安心して再度眠りにつこうとしたが、"声"が聞こえた。
"こいつなら"
こいつなら...なんだ?更にその声は、僕の腹のあたりから聞こえた。慌てて首だけ起こして腹を確認する。
絶句。声なんて出ない。 腕を二の腕あたりまで僕の身体に埋没させた、女がいた。髪の毛で顔は見えない。
"こいつなら"
ずぶ...ずぶ...
見ている前で、女は肩まで埋まってくる。まるで泥に腕を突っ込んでいるような感じだ。
「死ぬ」
確信した。確信するに足る理由もないが、このままだと僕は死ぬ。必死に身体を動かそうとするが、首と目しか動かない。
「ああ、もういいや。楽しい事なんか無かったし」
そう思い始めた時、当時どハマリしていたゲームの事を思い出した。メ〇ロット4。
まだクリアしていない。アー〇ビートル、コンプしてないじゃないか!
「あああああああああああ!!!!!」
習い始めの空手の影響か、寝た姿勢のまま身体ごと回転させ、凄まじい回し蹴りが出た。何かを蹴った。のに、その感触を残したまま、足はその場所を通過した。
そのまま僕は意識を失った。目が覚めたら病院だった。3日間ほど、原因不明の高熱で入院していたそうだ。以降、同じ体験は二度としなかった。
触らぬ神に祟りなし
僕は胸に刻み込んだのだった。
作者あかねこ
実体験です。乱文で申し訳ない。