以前旅行で砂漠に行ったときの不思議な話しです。
エジプトに6人で旅行したときです。
サハラ砂漠はエジプトをほとんどと言っていいほど、砂で覆いつくしてます。
エジプトシティーより150kmほど入った
サハラ砂漠の端の方に6人は案内されました。
オアシスはすぐ近くでその近くから「砂漠ツアー」が出てました。
「ラクダで30kmほど行くコース」と
「5km案内人同行で歩いてゆくコース」が在りました。
私たち6人は学生時代の友で同窓会がてら、旅行を企画してました。
私たちは金も無かったので5kmを歩くツアーに参加しました。
案内人は、少し日本語がしゃべれるガイドでした。
砂漠は暑く48度以上になってました。
その炎天下の中を6人は、水筒をぶら下げて歩きました。
5kmとはいへ砂漠ですから足を取られて、3kmぐらい来ると
4人が脱落しました。4人は案内人の支持で砂山の影で休みを取りました。
私と2名は歩き続けました。
案内人は「もうじき大きな岩があるからそこまで行ったら引き返す」と
言ってます。
目指す岩が目の前に見えてきたとき、私の耳には「水が流れる音」が
聞こえてきました。周りは砂漠、水など一滴も無いはずです。
しかし相変わらず私の耳には、「ザザーポトポト」という
水の音が聞こえました。
もう一人の仲間に「水が流れる音が聞こえるか?」と聞くと、
「お前耳がおかしくなったか?」
「ここは砂漠だよ」と言うと、岩に登り水筒の水を飲み始めました。
友達はからかうように、「この音じゃないのか?」と
私に近寄り水筒の水をゆすって見せました。
私の耳に聞こえる音には程遠い音でした。
友達と一緒に岩に登ると、岩の上は平らでところどころに溝のような
ヒビが入ってました。そのヒビの間を除くと中には赤黒いものが見えました。
その赤黒いものは転々と溝のあちこちに散らばってます。
案内人に水の音のことを話すと顔色が変わり「早く帰ろう」と言い出しました。
案内人は、「砂嵐が来る。」
「早く帰らないと私を初め全ての人が砂に埋もれる。」というと
私に近寄り
「岩の間に赤いものが見えましたか?」と聞いてきました。
私は「見えました。今も見えてる」というと
案内人は岩に向かい祈りをささげ出しました。
それから5分ぐらいで身支度をして、
帰りを急ぎ残りのリタイヤ組みと一緒にホテルに戻りました。
ホテルでは案内人の言うように砂嵐に備え
メイドが窓を閉め始めてました。
それから20分。砂嵐が来ました。
私は案内人を呼びだし「どうして、嵐が来るのがわかったか?」と聞くと
「あなたが水の音が聞こえると言ったからです」と答えました。
「あなたは霊感がすごく強い。
あの岩に近づく人は普通水の音など聞こえやしない。
水の音、岩の間に赤いものが見える人は、霊感が強くそれが見えるときや音が聞こえる事がわかると砂嵐が来るのがわかる。」
というと、昔の話を始めました。
「昔100年ぐらい前に水争いがあり、貴重な水を平等に分けようとしたが
水を盗むものが後をたたない状態だった。
そこで見せしめにあの岩の上で盗人を集め首を切った。
その血が流れて、乾いたのがあの赤黒い塊です。それが見えたり聞こえたりするお客さんがもし触っていたら熱病になっていた。」
「霊感の強い人が近づくと水の音を出して警告するのです。」
「それを無視すると砂嵐で命を落とす。」
このことを案内人が話し終わると引き上げて行きました。
それから2時間嵐は通り過ぎてゆきました。
風が無くなり窓を開けるともう暗くなってました。
地平線のかなたには「ユラユラ」ゆれている
「明かりが右や左に動くのが見えました。」
「あの明かりは何なのか?私しか見えないのか?」
そう思うとまた騒いで騒ぎを起こしそうでしたのでやめました。
見えてるものを無視して、誰にも告げず仲間のところに行きました。
作者退会会員