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中編3
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課外授業

神様のバチは本当にある…。

それを身をもって体験したお話。

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高校1年の初夏、課外授業でとある湖畔のキャンプ場へ行きました。

飯盒炊爨をして、私の班はカレーを作ります。

みんなでレンガを組んでカマドを作り、原始的な火起こしでカマドへ火をくべました。

「シティーボーイにサバイバルスキルなんか必要か?」

男子はそう愚痴っていましが、楽しそうでした。

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男子が火を起こしている間に、女子はカレー作りをしていました。

男子のリクエストで、具は乱切りの野菜ゴロゴロカレーになりました。

食事を終えると、自由時間になります。

私の班は、森の探索にいきました。

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男子2人がドラクエのBGMを口ずさみながら森の中を進み、女子がそのあとをついて行きます。

空気が美味しくて、森の中のせいか初夏なのに少し肌寒く感じました。

30分ほど歩き回った後でしょうか。

先頭を行く男子が立ち止まりました。

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「どうしたの?」

と、班員のカオちゃんが問いかけます。

男子の1人、ヒデ君が振り返って、

「…迷った」

と告げました。

『えぇぇぇぇぇっ!?』

私を含め女子3人が、声を合わせて叫んでしまいました。

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私達は小石で木に、ひっ掻くように矢印を書いて進みました。

これなら迷うまい!ということでしたが、なぜか同じところをグルグル歩かされました。

「…迷ったんじゃなくて、迷わされてるんだわ」

私が言うと、みんな青ざめました。

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「何とかならんの?」

と、もう1人の男子のリョウ君が尋ねてきました。

「いやーぁ、原因が分からんし」

私が答えると、すぐ隣にいたナルちゃんが、

「えー!霊的なものにかけてはスーパーサイヤ人の君がダメなら、うちら全滅じゃん…」

そう言って座り込みました。

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「なんとかしてみるよ」

みんなにそう言って、私は手近にあった木に左手を当てて目を閉じ、

<森の神様、地の神様、私達を迷わせる理由を御示しください。私達に出来ることはありますか?教えてください>

そう念じた後、みんなを振り返って、

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「…よし、もう1回進んでみよ」

そう言って私を先頭に歩き出しました。

しばらく進むと、なぜか少し開けたところに出ました。

そこには小さなお社があり、そのお社を他の班の男子2人が木の枝で突いたり叩いたりしていました。

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「…迷った原因、アレだね」

私が言うと、「あー…、ナルホド」とみんな。

それからすぐに、ヒデ君とリョウ君がその男子2人に「何しとんねーん!」と蹴りをかまし、お社への悪戯を止めました。

「でも、悪いのはあの2人なのに、なんでうちらが迷わされたの?」

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素朴な疑問をナルちゃんが言いました。

「人間の問題だから、同じ人間が何とかしろってことだよ」

私の言葉に「ふぅん…」と、イマイチよく分からなそうにナルちゃん。

お社の方では「お前らのせいで森から出られないかもしれないんだぞ!」と男子が怒っていました。

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そのあと、みんなでお社に手を合わせました。

「…これで帰れるはず」

私が立ち上がると、みんなも立ち上がって歩き出しました。

例の男子2人も歩き出しましたが、2人仲良く躓いて転んで手首を捻挫。

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「あーぁ、ほら、バチが当たった」

カオちゃんが言いました。

「…っ、なんで謝ったのに…っ!?」

男子の1人が苛立ったように言ったので、

「もう悪いことするなよ、っていう神様からの警告だよ。いいじゃん、手首の捻挫だけで済んで。下手したら命落としてるよ」

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私がそう答えると、男子2人は肩を落として押し黙りました。

やがて森を抜け、私達は無事にキャンプ場へと戻ることができました。

あのまま何もしなかったら、きっと戻れなかったことでしょう。

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山には山の、森には森の、海には海の神様がいて、その地を護ってくれています。

私達人間が、興味本位や、ましてや悪戯心で神様のテリトリーを侵したり神様を貶めたりすれはバチが当たるのも当然。

今の人間達には、もっと感謝の気持ちが必要なのかもしれません…。

[おわり]

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