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短編2
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寒い日

別段怖い話ではないのだが、これも心霊体験だからここに書いておくことにする。

寒い冬の日だった。

仕事の同期の姿を丸一日見ていないことに気付き、同期を探した。

当時の俺は自衛官で、寮生活。

その同期とも、一日中合わないなんてことはこれまでになかったので、少し不安になったからだった。

俺とその同期はよく廃墟や心霊スポットの類に行く中で、思い返せば、その同期は頭のネジが数十本飛んでるんじゃないか?

と思うほどの変人だったように思う。

それはさておき、彼の姿を探す。

時刻は夜の8時を過ぎており、その日は土曜日で外出でもしているんだろうか?

とも思ったが、そいつが外出することなど稀で、でる前日には必ず俺に報告する奴だった。

SNSで連絡を取ってみたが未だに返答は無し。

各部屋や、他の同期や先輩にも聞いたが誰も見ていないとのことだった。

捜索も一旦止めてタバコでも吸いに行こう…

そう思い屋上へと伸びる階段に足を向けた。

愛用のジッポで有害物質に日をつけ煙を肺まで吸い込み吐く。

白い煙が中へと舞い、そして消えた。

彼もこの煙のように消えてしまったのだろうか…。

匂いがする、俺のタバコの臭いではない。

俺の鼻腔に染み付いた、「アメリカンな魂」の匂いだ。

目をこらすと、屋上の端に見慣れた後ろ姿があった。

雪も降っていたから、みんなタバコを吸うときは屋根のある軒で吸うのだが、彼は舞う雪の下に1人佇んでいた。

チリン…

どこからか鈴の音が聞こえたような気がした。

遠目に声をかける。

「何しとん?そんなとこで?」

反応はない。

近づいて初めて気づいたのだが、彼の肩と頭には雪が積もっていた。

いつからここにいたのだろうか?

横から顔を覗き込む。

彼は泣いていた。

これが初めて見る彼の涙だった。

自称涙もろいとは言っていたが、彼が泣いている所は初めてみて驚く。

「…ああ、お前か」

心ない声で呟いた。

そう言うと彼はまた沈黙した。

彼はかなりの愛猫家で、それはわざわざペットショップやホームセンターで猫を眺めては可愛い可愛いと愛でていた。

彼自身も実家で猫を飼っているとは聞いていた。

そうか…死んだのか。

そう思った。

俺は無言で彼に背を向けた。

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