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中編5
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コマさん

まだ霊感が覚醒する前の私は、母曰く「幽霊を幽霊と認識しないで友達になる天然娘」だそうで、時折、強い霊感を持っているだろう片鱗を見せていたようです。

私が幼稚園年少の時、母方の祖母の家に泊まりで遊びに行きました。

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祖母の家のすぐそばには不動尊があり、その敷地内にはブランコと滑り台があったので、それで遊んでいました。

私よりも小さい弟達を連れて遊びには出られないし、祖母の家の地域には友達もいないので1人で遊んでいた次第です。

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祖母の家に泊まって2日目くらいでしょうか。

ブランコに乗っていた私に、知らないおじさんが声をかけてきました。

「お嬢ちゃん、1人で遊んでるの?暗くならないうちに帰らないと危ないよ?」

少し怖そうな顔をしてましたが、ニコニコ笑って言うので私も微笑みました。

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「おじちゃん、だぁれ?」

私の質問に、少し考える仕草をしてから、

「コマさん、っていうんだよ」

と、おじさんは答えました。

「どうして私に声をかけたの?」

「昨日も1人で寂しそうに遊んでいたから」

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コマさんは、私の頭を撫でました。

「じゃぁ、明日からコマさん私と一緒に遊んでくれる?」

私の言葉にコマさんは頷きました。

「いいよ。でも、ここへ来てコマさんと遊ぶ時は、ちゃんとご不動様にご挨拶してからね」

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そう言ってコマさんは、社の方へ顔を向けました。

「不動明王様キライ!だって、いつも怒ってて怖いお顔してるんだもん!」

私が言うと、コマさんは少し驚いた顔をしてから笑って、

「怒ってるんじゃなくて、悪いものを追い出してるんだよ」

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それから、

「ご不動様にご挨拶してから遊べば、怪我もしないで護ってもらえるよ」

と言いました。

私は「うーん」と悩んでから、「分かった」と返事をしました。

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コマさんは、敷地に入る前に鳥居の前でお辞儀をすること、手水舎で手と口を清めてからお参りすること等を話してくれました。

私が頭の上を「???」で埋め尽くしていると、コマさんは明日実際に教えてあげるよと言いました。

それから、その日はコマさんにバイバイしました。

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祖母の家に帰ると、台所にいた母に、

「神社でねぇ、お友達できた!コマさんっていう、おじちゃん!」

母は訝しむような顔をして、

「変な人に付いてっちゃダメよ」

と私に言いました。

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「変な人じゃないよ!親切なの。神社でのお参りの仕方も、明日教えてくれるんだって!」

私の言葉に、ますます怪訝な顔をして何か言おうとしましたが、隣にいた祖母が母を止めました。

「大丈夫、悪いものじゃないから」

祖母が言うと、母は頷いたようでした。

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翌日、お昼を食べた後に不動尊へ行きました。

鳥居の前でお辞儀をすると、コマさんがニコニコしながら社の方からやって来ました。

「偉い、偉い。よく出来ました」

褒められて嬉しくなった私は、エヘヘと笑いました。

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それから手水舎で左手から洗い、右手を洗い、左手に水を受けて口を濯ぎ、また左手を洗ってから柄杓の柄を洗い流しました。

コマさんは、始終ニコニコしながら教えてくれました。

社に行ってから私は、あっと思いました。

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「コマさん、お金持ってないからお賽銭入れられない…」

泣きそうになる私の頭をコマさんは撫でて、

「いらないよ。子供からお金を取るなんて、ご不動様はそんな悪い方じゃない」

と言いました。

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私は、「うん」と頷いてお参りを済ませました。

「よし、じゃぁ、何して遊ぶ?」

コマさんは笑って言いました。

「ブランコ!」

私が言うと、コマさんはわたしの手を引いてブランコへ。

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私がブランコに乗ると、その背中を押してくれました。

楽しくてキャッキャとはしゃぐ私を、コマさんはニコニコ笑いながら見ててくれました。

ブランコに飽きると、ベンチで一休み。

私が狛犬(こまいぬ)を見ていると、

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「…狛犬、好き?」

とコマさん。

「うーん…。ちょっと怖いけど、キライじゃないよ。お顔ブサイクで面白いし」

私の答えにコマさんは珍しく豪快に笑いました。

「ひどいなぁ。ブサイクかぁ」

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「だって、あ!っていう口と、うんっていう口をしてて、変なんだもん」

「あれは、阿吽っていうんだよ。あぁして、悪いものが社に入ってこれないようにしてるんだ」

「あうん…?…変なの!」

「あっはっはっはっ!変か〜!そうかー!」

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コマさんがあまりにも豪快に笑うので、私も笑ってしまいました。

それから毎日、コマさんと不動尊の敷地内で遊びました。

コマさんと遊ぶのは楽しくて楽しくて、いつも気付けば夕方まで遊んでいました。

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「コマさん、明日お家に帰るから、もうコマさんとは遊べなくなるんだ…」

祖母の家から自宅に帰る前の日、私がコマさんにそう告げると、コマさんは寂しそうに笑いました。

「そっかぁ…。寂しくなるね」

「うん…。でも、またいつか遊びに来るよ。だって、おばあちゃん家には、毎年1回は必ず遊びに来てるから」

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私がそう言うと、コマさんは頷きました。

「そしたら、また一緒に遊ぼ!」

私とコマさんは笑いあいました。

その時、私を呼ぶ声がして不動尊の入り口を見ると母が迎えに来ていました。

「お母さん!」

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母はコマさんに気付くと頭を下げ、コマさんも頭を下げて返しました。

私は母に駆け寄ると、コマさんに手を振りました。

「バイバイ!コマさん!また今度ね!」

コマさんは何も言わずに、手を振り返してくれました。

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私は母と手を繋ぎ、祖母の家へと歩き出しました。

この時、ふと振り返った母は見たそうです。

コマさんが、狛犬の中へ吸い込まれるようにして姿を消したのを。

母は、とても驚いたそうです。

祖母の家へ戻ると、母は見たままを祖母に話しました。

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祖母は笑って言いました。

「この子と遊んでたのは狛犬だよ。狛犬が護ってくれてたんだよ。だから言ったろう?悪いものじゃないよ、って」

それを聞いた母は、私をしげしげと見てしまったそうです。

[おわり]

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コンブリオ 様

コメントありがとうございます。
信じる信じないは、人それぞれですから私は構いません。
母が見たものを疑うつもりもないですし、祖母が母にそう言ったのなら、そうなのだろうと思っています。
視えない方には、解らない世界なのかもしれません。
私は幼かったので、コマさんというおじさんしか覚えてませんけどね。

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さすがに創作くさい
内容は悪くはないけどリアリティはない
実話と謳うのは構わないがそういう場合は信じられるようなものにしてほしい
話を盛ってるのかもしれないが
以前ここにいた誰かを思い出す
今までゼロさんの作品を読んでただけに最近の創作っぽさがただ残念

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