こんばんは、桃太郎改め毒太郎です。
今宵は、毒男の真似をして彼方此方で拾ってきた、わたくしの怖いと思ったお話をいくつか紹介したいと思います。
1 呪い真書
呪い真書を手に入れた。冒頭にはこう書いてある。
この書に書かれている手順を実行すると呪いが成就します。しかし手順を少しでも間違えるとその呪いは自分に返ってきます。あなたはそれでも実行しますか?
勿論だ。
俺には許せない奴がいる。だからこそこの呪い真書を手に入れたのだ。
俺は呪いの手順を始めた。
1.まず始めに、目を閉じて、呪いたい相手の顔を思い浮かべます
忘れたくても忘れられるものか、と俺は奴の顔を思い浮かべた。よし、次だ、どれどれ……。
2.どんな呪いをかけたいのか思い浮かべます
考え付く限りの苦痛を与え続けてやる。よし、次だ。
3.最後に目を開けます
☆
2 隙間、見た?
子供の頃に姉が、
「縁側のとこの廊下、壁に行き当たるでしょ。あそこ、昔は部屋があったんだよ。
人に貸してたんだけど、その人が自殺したから埋めたの。
今はもう剥げてきてるから、もしかしたら部屋の中が見えるかもね」
というような話をしてきた。
そして実際に壁のひび割れた隙間を覗いて「わ!見える見える!あれ、人がいる!なに、あれ」と騒ぎだした。
少し気になったけど、その時は夏だったから、壁に顔を近付けると剥がれかかった土壁のキラキラしたやつが汗で顔に付きそうなのが嫌で、私はスルーしていた。
それから姉はちょくちょく「隙間見た?」と聞いてきたけど、私はやはり顔にキラキラが付いたら嫌だから見なかった。
秋になった頃、姉が「隙間見た?」と聞いてくることはなくなっていたけど、私は気になっていたからやっと隙間を見ることにした。
ひび割れの隙間を覗いてみると、そこはオレンジ色の電球と、小さいテレビと机、小さい洗面台、腰の曲がったちょっとふくよかなおばあさんがいた。
全体的に暗かったけど、そんな感じだったと思う。
おばあさんは座布団に座っていたけど、不意に立って洗面台の辺りから包丁を取ってゆらゆらと私(隙間)の方に近付いて来た。
凄く怖くなった私はダッシュで居間に駆け込み、姉に今のことを説明したんだけど、姉は
「いまごろ見たのー? あれ嘘だよ、見たら嘘だって言おうと思ったのに全然見ないんだもん。忘れるとこだった」
と笑うだけで、全く信じてくれなかった。
話はこれで終わり。あの時、姉の暗示みたいなのにかかっていたとしても、個人的にほんのり怖かったお話。今でも正直怖い。
☆
3 エレベーター
今から5年前、渋谷のとある会社に勤めていた時の体験。
深夜残業になり、夜中まで仕事をしてた。事務所は6階建ての雑居ビルの4階で、深夜になると非常階段は閉められてエレベーター以外降りる手だてが無くなる。
0時を過ぎたころやっと仕事が片付き、やれ疲れたとエレベーターで1Fに降りた。
ドアが開いたら、闇の中に野原が広がっていた。
しかも、遠くの方にうっすらと墓石みたいなのが並んでる。
呆然としているとエレベータのドアが閉まった。
どうしようと考えたが、仕方なくボタンを押してまたドアを開いたら、いつも通りの1F通路だった。
普通に帰れたけど、あの野原に出たらどうなっていたか不明。
☆
4 池沼に暴言吐いたらめちゃくちゃ危なかったwww
3年くらい前まで近所に池沼が住んでて夜中に奇声を上げながらチャリを乗り回してた。
不気味だし迷惑だけど、注意したりしたら何しでかすわからないし、親がヤバい筋の奴らしくみんな放置していた。ある週末の夜徹夜でテスト勉強してると3時頃にお馴染みの奇声が聞こえてきた。
ここしばらく出なかったのにと舌打ちしてたら、ギコギコギコと乾いたチェーンの音を立てながらイヤァーだのウエェーだの叫ぶ池沼がウチの前まできた。
すぐ通り過ぎるかと思ったら叫び声がピタリと止んだ。二階の俺の部屋だけ明かりがついてるのに目を付けられたらしい。
数分後、窓に石投げてきやがった。しばらく無視していたが、だんだん石がでかくなって割れそうになったので遂にキレて窓に近寄って怒鳴った。
「うるせえばかやろう。ぶっころすぞ!」
そしたら投石が止まり、外は静まり返った。やれやれと机に戻ったが、しばらくして気付いた。チャリを漕ぐ音もしない。
まさかまだそこにいるのか、と外を覗いたら倒れたチャリしか見えない。窓を開けて顔を出したら真下から
イヤァーーーーーヒョヤァァーーー
排水管伝って危うくもう窓枠に手が届くところだった。俺もウワーッと叫んでそいつが投げた石を片っ端からぶつけた。一個が顔に当たってそいつは叫びながら落ちた。
俺は怖くて窓を閉めたが、やがてギコギコと去っていく音が聞こえた。
そいつはその後骨折で入院してそのまま引っ越して行った。その時そいつの親がウチへきて、仲良くしてくれてありがとうと菓子折り持ってきた。もちろんすぐに捨てた。
作者退会会員