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これは、私の母校の中学校の話です。
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その日は学期末の大掃除の日で、
私と友人Aは、同じ掃除場所なのをいい事に
先生に隠れて、ずっとお喋りをしていました。
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丁度、一学期の終わりだったので
話題は夏休みへの予定へと移り、
いつの間にか怪談話に変わっていました。
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窓から差し込む日差しが、嫌に強い日でした。
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A「ねえ、この学校の怪談ってあれだよね」
私「あー、あれ?3階のトイレの話」
そう。この学校唯一の怪談の話です。
『特別棟の3階には幽霊が出る』
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吹奏楽部の先輩が、特別棟の3階のトイレの前に佇んでいる白い服の女の子を見た。
どう見ても中学校の人では無かったので
どうしたのかと思い話しかけようとしたら、
忽然と消えてしまった。
確かにそんな話だったとおもいます。
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かなり眉唾な話でしたが、
その女の子を見た先輩がまだ在学中だった事と、
他にこれと言った怪談が学校に無かったので、
それは私達の間でおおいに話題にされました。
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A「そこさ、今から言ってみよーよ!
ほんとに出たらなんか凄いじゃん!?」
私「んー、いいよ!」
ちょっとした、肝試しのつもりでした。
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もう掃除時間も終わりごろのせいか、
そのトイレには、誰もいませんでした。
設計上、
日光がほとんど入り込まないようになっているので
真昼間だというのに
薄暗くて、
どこか肌寒ささえ感じました。
夏の暑い日差しが照りつける中に
一つだけ黒ぐろとしたそれは
近くにいるだけで、なんだか嫌な感じがしました。
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かなり怖かったですが
ここまで来たら行ってやろうと決意しました。
灯りが無い方がそれっぽいだろうと
私とAは電気を付けずに、恐る恐る
トイレの奥の方を覗いてみました。
暫く暗闇に目がなれるのに、時間がかかりました。
丁度、その暗闇になれてきた頃でしょうか。
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shake
『アハハハハハハハハハ』
『アハハハハハハハハハ』
『アハハハハハハハハハ』
幾重にも響く笑い声が聴こえたのです。
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余りの恐怖に
一旦放心状態になった私たちは
暫く動けませんでした。
次の瞬間、
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コツ
コツ
コツ
トイレの奥の方から
まるで革靴で歩く様な音が。
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逃げなければ。
本能的にそう感じた私とAは
まだ固まっている体を無理やり動かし
一目散にその場から離れました。
走って走って、やっと人のいる、明るい場所に出た時の
心から安堵できた気持ちは、今でも忘れる事ができません。
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あの後、何度もAと話し合いました。
あの笑い声は、近くにあった階段を誰かが通った時に発したものではないのか。
あの靴音は、私達の側を誰かが通った足音ではないのか。
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しかし、どう考えてもそれは有り得ないのです。
私達が一目散に逃げている時、
その階段を使いましたが、誰もいる様子がなく
近くと言っても、間に廊下を1本挟んでいるので
声が聴こえるには難しく
誰かが通ったのなら気配や、それに準ずるものの感じがするはずなのです。
けれども、その様なものは、一切ありませんでした。
第一、生徒は普通の上靴で、
先生方は、革靴のようなものは室内で履きません。
それに、これは確かに言えるのですが、
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その笑い声も靴音も
ハッキリと、トイレの中から聴こえたのです。
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卒業してから
元々、中学校のあった場所には、お墓や
病院があった、などと話を聞きましたが
実際の所、どうだったのかは今となっては
分かりません。
そして何故、笑い声や靴音が聴こえたのかも
謎のままです。
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只、今でも
そのトイレには、
不可思議な事が起こるという噂が
後を絶たないそうです。
作者戌神
初投稿です。よろしくおねがいします
これは、実話を元にしてつくりました。
これを境にして、私達は肝試しなどにいくのを
絶対に辞めようと決めました。