短編2
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梅の木

これは、実際にあった(らしい)話だ。

祖母が自分に話してくれた、祖母の友人の体験した話。

幽霊とかはでてきたりせず、どっちかといえば怪奇現象といといった感じ。

もしかしたら怖いとは感じないかもしれない。が、この世界には、人には理解できないなにかがある、という事がわかる話だ。

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祖母の友人(以下Aさん)が、結婚し、庭付きの一軒家に住み始めた頃の話。

せっかくの庭付きであるのに、その庭が花どころか草木も生えておらず、なんだか寂しい景観だったので、なにか木を植えようということになった。

Aさんは梅の木が好きだったので、梅の木を植えることになった。

梅は順調に育ち、春が待ち遠しくなった頃、突然Aさんに、腫れ物ができる。

病院にかかるも、原因不明で、強い痛みもでてきたので酷く悩まされた。

原因がわからないので、当然治療法もわからず、途方に暮れるばかり。

そんな折、Aさんの友人で、僧として働くDさんが訪ねてくる。

Aさんの当時の状態を聞いて駆けつけてきたらしい。

そして、DさんはAさんの容態を見るなり、こう言った。

「こりゃあ、病気とか、そういうもんじゃぁないよ」

さらに続けてAさんに向かって

「・・・あんた、北東の方角に、なんか大きいもの置いたり、建てたりとか、心あたりないかい?」

と尋ねた。

Aさんはしばらく考え込んでいたが、やがて口を開き、

「建てたり、置いたりとかじゃないけど、梅の木は植えたなぁ」

と答えた。

するとDさんは、

「わかった。だったらそれ、すぐに引っこ抜きな。北東は、あんたにとって鬼門なんだ。コイツ(腫れ物)は、その梅を植えたせいだよ。」

と言った。

そうする他に、なにかあてがあるわけでもないので、一家総手で植えた梅の木をすべて抜いた。

すると、一週間と経たないうちに腫れ物が消え、痛みもひいたという。

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