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短編1
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ある男の所に、見知らぬ紳士が箱を持ってやってきた。その箱にはボタンが付いていて、

それ以外には何も仕掛けらしきものは見あたらなかった。その紳士は穏やかな口調で

男に言った。

「あなたがこのボタンを押すと、どこか遠い場所で、あなたの知らない人が死にます。

そのかわり、このボタンを押して頂けましたら、あなたに100万ドルを現金で差し上げましょう。」

そう言うと、紳士はボストンバックを開き、中に詰め込まれた札束を見せた。

男が躊躇うと、紳士は3日後に箱を取りに来るから、それまでに決心して欲しいと言って

去っていった。

男は悩んだが、誰も知らない人間なのだからと、最後の日にボタンを押した。

翌日、紳士が現れ、男に礼を言って100万ドルと引き替えに箱を回収した。紳士が会釈して

去ろうとしたとき、男は紳士に尋ねた。

「本当に人が死んだのか?」

すると紳士は答えた。

「はい。確かに昨晩、遠い場所で、あなたの知らない人が死にました」

男は良心が痛んだが、目の前の札束を見て自分を納得させた。

「もう一つ教えてくれ」

「はい、何でございますか?」

「その箱はどうするんだ?」

すると紳士は微笑んで言った。

「どこか遠い場所の、あなたの知らない人に届けます」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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