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中編3
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隣の美人

「こんばんはー」

吸い込んだ煙を吐き出す。せっかくの一服を邪魔するのは誰だ?

「はーい」

出てみると、20代くらいの髪の長い女が立っていた。しかもかなりの美人だ。

「今日から新しく隣に住みます、中野 さえ と申します」

中野と名乗った女は深々と頭を下げた。

隣には元々、中野という老夫婦が住んでいたから恐らく彼女はその孫だろう。

「ああ、そうでしたか。青木 蒼太です」

「これ、つまらないものですが…」

そう言って綺麗に包装された箱を差し出した。

「ご丁寧にどうも」

「これからよろしくお願いしますね」

「はい、こちらこそ」

隣に自分と同い年くらいのこんな綺麗な人が住むなんて、一人暮らしが楽しくなりそうだ。

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数日後

「あ、青木さん!」

中野さんと部屋から出るタイミングが同じだった。女性との関わりがほとんどない俺にとっては、こんな些細なことが嬉しいのである。

「こんにちは」

「こんにちは。私達今、息ぴったりでしたよね?」

「ええ、そうですね」

2人で笑いあった。

今思うと、身内以外の女性とこうやって話したのはいつぶりだろうか。

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1週間後

俺と中野さんは仲良くなっていた。

「ふふ、それ本当ですか?」

「ほんとほんと、俺が実家で飼ってた犬、後ろ足だけで立てたんだから」

他愛もない会話が、暇な時間を埋めてくれていた。

「そういえば青木さんのご両親は何をなさっているんですか?」

「え?花屋だよ」

「お花屋さんですか?!憧れるなぁ」

「あんなの儲かんないだけだって。それなのに俺のために新築しちゃうし…中野さんのところは?」

「銀行員と専業主婦です」

「へー。銀行員かぁ。あ、よく中野さんちの前で見かける人達だよね?」

時々、仲の良さそうな夫婦を見送る中野さん一家を見かける。

「あ、はい。そんなに頻繁に来なくていいって言ってるんですけどね」

「いやぁ、親元離れたばかりだから心配なんだよ。それに、離れて暮らしてるから会いたくなるんだろうし」

「でも、もう二十歳なんだしそろそろ子離れしてほしいですよ」

「来なけりゃ来ないで寂しいもんだよ?俺の親なんか年に3回くらいしか来ないんだから。まあ俺もそんくらいしか実家帰らないんだけどね」

この日は夕方までお喋りを楽しんだ。

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1ヶ月後

「お花、ここに飾っとくわね」

母が玄関の両サイドに花を飾る

「いいよ、別に花なんて」

「あんた、うまくやってんの?」

「ああ、ご近所さんとも仲良くやってるよ。そんっちは?」

「それに、たまには帰って来るのよ?」

おいおい、俺の質問は無視かよ。

「お願い!父さんも待ってるんだから」

母は俺の目の前で手を合わせて懇願する。

「わかった、わかったから!そんな頼み方されたら帰らないわけにはいかないだろ」

「じゃあ、あんたの好物のおはぎ作って待ってるわね…」

そう言って母は帰って行った。

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「母さんのおはぎか…ひさびさ食いたいな…」

俺は煙を吸いながら呟いた。

「蒼太さんでも甘いもの食べるんですね」

「うわぁ!」

いつの間にか隣に綺麗な女性が立っていた。

「さ、さえさん…いつからいたんですか?」

俺達は下の名前で呼び合うようになっていた。

「いつからでしょう?それより、意外です。蒼太さんって、煙吸ってればご飯いらないってかんじの人だと思ってました。」

「はは、確かに三度の飯よりは好きかな?」

「だめですよー、お母さん大事にしないと」

「ごめんなさい」

さえさんが俺の隣に座った。

「じゃあ、いつ帰るんですか?」

「今夜かなぁ。初めてできた彼女を紹介したいしね」

「…その後は私の両親にも、きちんと挨拶してくださいね?」

こんなことなら、もっと早く出会いたかったな。

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ピノ様、ありがとうございます。
常に新しい展開を作っていきたいと思います。
今後ともご愛顧のほどよろしくお願いします。

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おくたま様、ありがとうございます。
今後ともご愛顧のほどよろしくお願いします。

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腐煙様、ありがとうございます。
2度も読んでいただけるなんて光栄です。

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