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これは、私の母の話。
ある夜、母は寝ていた。
だが、真夜中に目が覚めてしまった。
その時異様に寝苦しさを覚えたそうだ。
眠れない、そう思いながら寝返りを何度も打った。
隣では父が爆睡していた、その時だった。
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壁から無数の手が生えてきた、と思ったら母の足を掴んできたのだ。
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shake
そして、あっという間に母を壁の中へと引きずり込み始めたのだ。
「ぎゃー!」
そんな悲鳴を上げた。
側では相変わらず呑気に寝ている父、刻一刻と壁へと引きずり込まれてく母。
最終手段として、母は父の足を掴んで引っ張った。
shake
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そして、掴まれた瞬間に父が目覚めればまた悲鳴が上がる。
「おわっ!?何だこれっ!?」
そんな父の視界に入ったのは、父の足を掴む母とそんな母の足を掴み壁の中へと引きずりこんでく無数の手だった。
「早く何とかしなさいよ!」
「何とかしろって言われたってどうしろって言うんだよ!」
そう会話する中、父が母を引っ張り返せばその無数の手達が離す訳でもなく綱引き状態になる。
その瞬間、母が切れた。
勿論矛先は、その無数の手達にだ。
shake
「痛い! 痛いって言ってんだろうがふざけんなよテメーらっ!!」
そう叫べば、あんなにも綱引き状態で壁の中へと引きずり込んでいく手達は一瞬にして手を離したのだった。
そして、その夜は幕を降ろしたのだが何よりもその話をしていた母が後半に進むにつれ殺気立っていたので私はその無数の手達は母の殺気に恐れをなしたのではないかと思った。
作者リエ