先週、俺の父が警察に捕まった。
原因は覚醒剤所持だ。
間違いなんじゃないかと何度も警察に言ったが、もう証拠があるらしい。
3日前に家宅捜査があり、やっと落ち着きを取り戻した感じだ。
そんなわけで今は俺の母と愛犬との暮らしになっていた。
母はショックが隠せない感じで、最近は声すら聞いていない気がする。
母とは実は義理関係で小6の時に父が再婚した相手だった。
今は本当の母親のように思っている。
それほど優しい人だ。
だけど、それ以上に父も優しかった。
父が離婚したのは小1の時で6年間1人で俺を育ててくれた。
その時に「絶対お前を1人にしないからな」と言ってくれたことは今も忘れていない。
父は忘れてしまったのか。
それで俺は最近、精神安定剤を飲んでいる。
不安になる時もそれを飲めば気持ちが落ち着く。
「きゃあぁぁぁ!!」
「この声は母の……!」
見るとそこには血だらけの母の姿があった。
どうして…こんな母まで…。
俺がいながらこんなことになるなんて…!
「やめ……て…。うっ…っ…」
とりあえず警察を呼ばなきゃ。
母を見ると怯えた表情と苦しそうな表情でこちらを見つめている。
とりあえず警察が来る前に部屋に犯人がいるか探そう。
リビングを出て、廊下を見渡すが誰もいない。
二階も見たが誰もいなかった。
すると、警察が来た。
たくさんの人が一気に家の中に押し寄せてきた。
慌てた姿で母を担架に乗せ、運んでいく。
「通報した方ですか?」
「はい。知らないうちに母が血だらけだったんです。」
「分かりました。では、とりあえず署まで。」
言われるがまま俺はついて行った。
数日後。
母はけっこう深い傷になっていて、病院で入院している。
僕にとっての家族はこの人しか居ない。
犯人が許せない。
ピンポーン
チャイムが鳴った。
「はーい。」
見ると警察の人が2人並んでいた。
扉を開けて2人に聞いた。
「犯人は見つかりましたか?」
「はい。」
「本当ですか!?」
「それでは、署にて詳しくお話しさせていただきます。」
俺は今、手錠をかけられている。
話を聞くと俺が犯人で証拠があるらしい。
もう、意味がわからない。
どうしてそうなるんだ!!
俺は母には感謝してるし、恨んだりするわけがない!!
どうして、どうして…!
警察官に連れられ一つの牢屋の前に着く。
5人の男たちが檻の中からこちらを見つめている。
「はいれ。」
納得のいかないまま檻に入り、他の人たちを見つめる。
「……っ!」
そこには父の姿があった。
そんな…。
父はこちらを見ては不気味に微笑んだ。
作者おかか
気になるのは、なぜ主人公が捕まったのかと母は誰に殺されたのかである。
この家には母と主人公しかいないのに気づかないなんてことはあるのだろうか?入るにしても音がするだろうし、そんな早く逃げられるわけがない。
つまり、犯人は主人公自身なのである。
なのになぜか主人公は殺した自覚がない。
記憶がなくなってしまったり、おかしな行動をしてしまう。それは覚醒剤を飲んでしまったからではないか。
「絶対お前を1人にしないからな。」の言葉の通り、父は精神安定剤と覚醒剤を入れ替えていたのである。
刑務所の中までも一緒なんて仲良しな親子ですね…。