僕はその日、いつもより少し遅く布団にはいった。
が、なかなか寝付けなかった。
いつもであれば、布団に入った途端すぐに寝ているはずなのに。
スマホをいじっていたせいだろうか。
ともかく眠れなかった。
だから僕は、布団にはいったまま腕だけ伸ばしてウォークマンとスピーカーをとり、音楽をかけはじめた。
そしてふと顔をあげると
・・・顔があった。
寝室のドアの隙間からこちらを覗いている。
声もでなかった。
僕はそいつから目を離せなかった。
そいつも、じっと僕を見ていた。
どれくらいそうしていたかは覚えてない。
いつのまにかそいつは消えていたが、結局僕は、怖くて眠ることができなかった。
つぎの日、まさか会社に「幽霊がでてきたせいで眠れず、寝不足だ」などと言って休むわけにもいかず、重いからだをひきずりながら出社した。
そして仕事を終え、帰宅すると、僕の部屋が荒らされていた。
作者チェル公
ほんとに幽霊なの?
もしいつも通り、すぐに寝付けていたら?
「そいつ」がいなくなって、安心して寝ていたら?
というお話です。