これは、12年前のお話です。
当時住んでいたアパートの寝室には、南向きの窓がありました。
その窓の左側の、部屋の隅に、私はいつも霊の気配を感じていました。
当時の私は、今よりも霊感が強くなくて、霊を視るというよりも霊の存在を感じることが多かったのですが、その霊の気配は、いつも部屋の隅にずっといて、何をするわけでもなく、どこへ行くわけでもなく、ただずっとそこにいるのでした。
独身だった私も、やがて結婚をして、子供を産みました。
その間も、霊の気配は、部屋の隅にずっとありました。
でも、何をするわけでもないので、私もあまり気にしていなかったのです。
ある日、私よりも霊感の強い弟が、寝室にいる霊を女性だといいました。
でも、弟は、
「何をするわけでもなく、ただいるだけだから、気にしなくていい」
と言ったので、私は安心していたのです。
それから、子供が8ヶ月を過ぎた時のこと…
子供がお昼寝をしたので、添い寝をしていた私は、そっと寝室を出て、隣の居間で雑誌を見ていました。
すると、隣の寝室から、眠っているはずの子供の「キャッキャッ」という笑い声が聞こえるのです。
「あれ?起きたのかな?でも、なんで楽しそうに笑っているんだろう?」
私はそう思いながら、隣の寝室のベッドを見ました。
すると、確かに子供は起きていて、寝たままの状態で足をばたつかせながら、両手を天井の方へ伸ばしているのです。
と、その時、
music:6
「フフフフ…」
と女の笑う声が!!
「え!!」
その瞬間、私は確かに見たのです。
ベッドの横から、子供を覗き込む髪の長い女の姿を!
私はとっさに、
「その子はあんたの子じゃない!!手を出すな!!」
と怒鳴って、子供を抱きかかえました。
すると、その女はすっと消えたのです…
music:4
そのことがあってからも、女の気配は、寝室の部屋の隅にずっとありました。
でも、それ以降、子供に手を出すことはありませんでした。
それから、私は、そのアパートを出ました。
あれから12年経ちますが、あのアパートは、まだあるようです。
あの女は、まだあのアパートの部屋の隅にいるのでしょうか…
もしかすると、あの女はまだあのアパートにずっといて、何をするわけでもなく、どこに行くわけでもなく、そこに住む住人をじっと見つめているのかもしれません…
作者退会会員
実際に体験したお話です。
あの女の霊とは、2〜3年くらい一緒の空間に暮らしていましたね…でも、きっとあの女の霊は、私がその部屋に住む以前から、地縛霊として、ずっとあの部屋の隅にいたんだと思います。
今もいるのか、ちょっと気になります。