短編1
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空車のタクシー

バイトが終わって、帰り道での出来事。

駅を出て大通り沿いの交差点を渡ると、家までは細い路地の一本道。

時間は深夜1時。

人なんて全然いなくて、ちょっと怖いなーと思いながら歩いていた。

後ろからタクシーが来る。

車一台通るのがやっとの道幅だったので、車が通りやすいように端に寄った。

追い抜く時に運転手が片手を上げながらこちらに軽く会釈する。

こっちも軽く頭を下げた。

助手席には、グレーのスーツを着た40代前半の男性が乗っていた。

タクシーで帰宅なんて羨ましいな。

こっちは終電ギリギリでバイト終わって家まで歩いて帰るんだよ、ちくしょー。

そう思いながらふと、タクシーのフロントに光る赤い表示に目がいった。

「空車」

タクシーは私を追い抜くと、客を乗せていたら出さないであろう猛スピードで狭い裏路地を走っていった。

怖い話投稿:ホラーテラー きちさん  

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