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中編3
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袋を囲む者たち

7~8年位前の私の体験です。

夏に、親父と私(小学生)が2人で、

車に乗って出かけた事がありました。

目的はよく覚えていないのですが、確か祖母の家に行く、

とか、その様な感じだったと思います。

夜の10時くらいでした。

親父が、タバコを買うのでちょっと待っていてくれ、

と言い、住宅街の暗い夜道の脇に車を止めました。

車には私一人です。私は車の窓を何気なく開けました。

車を止めた場所からすぐ近くにあった、学校らしき建物。

そのグラウンドの上に誰かいるのが、

薄暗い灯りによって見えました。

4~5人ぐらいだったでしょうか。

みな、手にホウキのような物を持っていて、

何かが入った袋のようなものを取り囲んでいました。

かなり大きいそれは、もぞもぞと動いていました・・・

親父は、まだ帰ってきませんでした。

あれは確実に「人間」で、しかも「大人」では無かったと思います。

私は視力がかなり良いほうなので、背丈や顔の特徴から、

当時の私と同じくらいの子供だったと確信しています。

長めのスカートも見えたので、少女もいたのでしょう。

彼らが、ホウキのような物で、

その袋を殴り始めたのは、それからすぐの事でした。

袋の中からは、うめき声らしき物が聞こえました。

鈍感ながらここで初めて、恐怖が襲ってきましたが、

今、窓を閉めると、閉める時の音でバレてしまうと思い、

それも出来ずに、私はその光景をずっと見ているだけでした。

子供たちは、袋に入った塊を殴り続けています。

だしぬけに、それを足で踏みつけたのは、

スカートを穿いたあの影でした。

うめき声は、もうかなり小さくなっていました。

どれだけ長かったでしょうか・・・

タバコを手にした親父が漸く帰ってきました。

そして、親父がドアを開ける音に安心しました・・・が、

その途端、殴打の音が突然止んだのです。

反射的に、ハッと振り返りました。

グラウンドに並列に並んだ小さな影は・・・

微動だにせず、私の方向を向いていました。

全員の手にはホウキ。

動かなくなった袋。

安心は一気に吹き飛びました。

私は座席の下に潜り込むように隠れ、

車が発進するのを、ただひたすら待ちました。

親父は怪訝な顔をしていましたが、

そういう事に対して割と無関心な人で、

深くは追求されませんでした。

私も、説明する気になどなりませんでした。

帰り少しが遅くなったのは、ただ、

札の通る自販機が遠くにしか無かったから、

と聞かされました。

あの後、私が知る限りでは、

その様な感じの事件は無かったように記憶していますが、

それは私が知らないだけで、もしかしたら・・・とも考えたりします。

これが霊感などは全く無い私の、

ただ一度だけの、不可解な恐怖体験です。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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