「宇宙人に会いに行こう」

短編2
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「宇宙人に会いに行こう」

「昨日、宇宙人に会ったんだ!」

そう言ったのはクラスで友達になった真くんでした。

当初、小2だった私も最初は『宇宙人』だなんて言葉は信じず、「そんなのいるわけないじゃん」と笑っていました。

しかし真くんは「ホントなんだって!頭がデカくて背は低かったんだよ」と真剣に話してきました。

更に「僕と握手しようとしてきたんだけど、怖くなって逃げちゃった」と話してきます。

マンガやアニメの世界で、妖精やモンスターと仲良くなることに密かな憧れをもっていた私は、話を聞いている内にだんだん興味が湧いてきました。

私が「宇宙人と友達になりたい!」と言うと、真くんも「僕もなりたいかも」と言ってきました。

真くんは「友達になるんだもん、怖がる必要はないもんね」と言ったので、二人で「宇宙人に会いに行こう」ということになったのです。

真くんがその宇宙人に会ったのは夜の12時、近くの森の中だったそうです。

その日、親が寝たことを確認した私は、こっそりと家を抜け出し、森の近くで真くんと待ち合わせました。

森の中に入り、真くんが宇宙人に会ったという場所まで行くと、確かにそれらしき人影が見えました。

「真くんより先に握手してやる」と密かに思っていた私は真くんより早く、近くまで駆け寄りました。

しかし宇宙人と思しき人影は気が付くと私達の後ろに回りこんでおり、真くんのすぐ近くにいたのです。

宇宙人が手を差し伸べ、真くんはそれに応えるように握手を交わしました。

すると、真くんは宇宙人と一瞬でどこかへ消えてしまいました。

「友達になった人 以外は宇宙人が見えないんだ」

この時そんなことを考えていた私は、あと一歩で友達になれたのに と悔しく思いました。

その直後「いたっ!」という声が聞こえ、振り返るとそこには父がいました。

私は家まで手を引かれ、帰ると母に強く抱きしめられたのです。

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あれから15年、真くんは今でも消えたままです。

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あの頃の私は子供だったので知らされていなかったのですが、その森は雫石町で知らない者はいない有名な心霊スポットでした。

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