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中編3
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鏖の詩

8年前に付き合ってた女の話。

堀北○希っぽい感じの俺とは釣り合わない、可愛い女だとこの頃は思っていた。

なんか両親はどちらも亡くなられていて、寂しい思いをしていたらしいところを俺がとっ捕まえた(笑)

父親を中1の頃に亡くし、母親は去年亡くなられたとか。

この頃(8年前)の去年っつーのは大学2年の時の話。

彼女の名前は美羽っていって中学からの同級生で、この時あった同窓会で捕まえたんだけど、ちょっと(かなり)おかしなところがあったから紹介したいと思う。

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付き合って半年過ぎた頃、一緒に出掛けることになった。

まず外で会って色々遊んだ後、疲れたから一人暮らししてる彼女の家に行くことになった。

両親は二人とも事故死。

美羽は保険金か何かでお金は持ってて、生活には困ってなかったらしい。

不謹慎だけど、この頃まだ実家暮らしだった俺には少し羨ましく思えた。

そんで彼女の家でS○Xしたからまた疲れて寝て、しばらくした後トイレに向かったんだ。

そのとき夕方だったからか、眩しい光のようなものが何故か壁を貫くように差していた。

不思議に思ったから、その壁を押してみたら隠し扉になってた。

その扉の先は小さな窓のある部屋だった。

中には美羽のと思わしき勉強机みたいなんがあって、壁の三方向[左・中・右]に大きく赤い字で詩(うた)のようなものがつづられていた。

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で、これがその詩の内容

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………

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これは聖戦だ

悪との戦いだ

仇なす者を葬り去る

それが我らの信条だ

血をばら撒け

裁きを下せ

さぁ、声高らかに

歌え歌え鏖の詩

 

 

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隣人を殺せ

友人を殺せ

我らを理解できぬなら

家族をも惨殺せよ

愛を憎み

憎しみを愛せ

さぁ、声高らかに

歌え歌え鏖の詩

 

 

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生は混沌だ

死は平等だ

奴らの命を絶てるなら

この魂をも解き放つ

地獄に歌え

亡骸に歌え

さぁ、声高らかに

歌え歌え鏖の詩

 

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………

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(よくわからん漢字もあったから、とりあえず写メった後パソコンで調べて載せてる)

内容が内容だったから真面目にビビったし、あいつが起きてきたらどうしようかって実際あせってた。

あせっていた俺は少し敏感になっていたんだろう、なんか後ろから物音がした気がしてビビってすぐに部屋に戻った。トイレに行こうとしてたことも忘れて。

部屋に戻ったらあいつが居なくて、ヤバいと思った俺は即行で服を着て家に帰ろうとしたんだ。そしたら、

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「帰るの?」

 

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と後ろから声がして、振り返ると美羽が裸でたたずんでた。

「あぁ。用事、思い出したし…」

と、俺が言うと、

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「そうなんだ」

 

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と返してきた。

自分の顔が引きつってたのが分かった。

萎縮していたのもあるかもしれんが、あの時のあいつの目は、、、非常に恐ろしく見えた。

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次の日、俺は彼女に別れてほしいと告げた。

理由はあえて言わなかったし、彼女も聞いてこなかった。

すぐ別れたのは軽率だった気もするけど、報復やら復讐やらは無かった。

何も無いのが怖いくらいに、何も無かった。

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8年経った未だに、美羽と会うことは少し怖い。

思えばあの時、声を掛けられて俺が振り返ったのはトイレ方向だった気がする。

早い話、隠し部屋のある方向だ。

やっぱりあいつは気付いてたんだろうか?

俺が写真を撮ってる間も、もしかしたら俺の後ろにいたのかもしれない。

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…来月、久々に同窓会がある。

しかもよりによって、あの女(美羽)が幹事らしい。

行くか行かないか俺は今も迷ってる。

まぁ、断ればいい話なんだけど、一応これが遺書代わりにでもなればなと(笑)

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ちなみにコレ →「鏖」

一文字で「みなごろし」って読むらしい。

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