目が覚めたら、見たことのない場所に居た。
覆いしげる草木に、様々な模様や大きさの岩。
「ここはどこ・・・?私、何してたんだっけ・・・(ズキン)」
頭がガンガンする。まるで二日酔いの朝の様だ。
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「とりあえず、誰かに聞いてみよう・・・」
少し歩くと、広い場所に出た。
フラフラとした人が沢山歩いている。
「あ、あのー・・・」
shake
≪≪ギロリ≫≫
振り向きこちらを見る。
虚ろな目・・・爛れた顔・・飛び出そうな目。
『そこのアンタ!コッチに!早く!』
岩陰から叫んでいる女性のもとへ私は走った。
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『アイツ等に話しかけてはいけないよ。飢えているからね。』
「助けてくれてありがとう・・・ねぇ教えて。ここはドコなの?」
『上を見てごらん。小さな穴があるだろう?ここはね、神に支配される場所なんだ。』
「支配される場所?」
『そう・・・生きるも死ぬも、全て神様の気まぐれの世界』
「・・・ここから出られる・・・?」
『それは・・・
shake
うぁ~~~~~!!!ここから逃げて、生き延びてやる!!!!
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ひとりの女性が、上の小さな穴へ向かって飛び出していった。
「やった!やったわ!ねぇ見てた?出れた人が居たわ!」
『よく見ていてごらんよ』
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く、苦しい・・・息が出来ない・・・体中が痛い・・・
誰か・・・ダレか・・・助けてタスケテタスゲテ・・・焼けル・・・痛イ・・・死・・・ヌ
穴から出て行った女性はもがき苦しみ、動かなくなっていた。
『ここから出られるのは、神様に選ばれた時、選ばれた者だけさ』
見知らぬ場所で、よく分からない状況のまま、よく理解できない返答に戸惑った。
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それから数日間。必死に出口を探し、私がなぜここにいるのか考えた。
「もう何日なにも食べていないいんだろう。お腹が空いた・・・・・・」
フラフラと宛ての無いまま彷徨っていた。
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-ポトリ-
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頭上から落ちてきたものを拾った。
「!!!パ、パンだわ!!!」
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広場には次々にパンが降ってきて。
沢山の人が群がり、夢中で食いつき、奪い合っていた。
「いただきます・・・」
『アンタ!!早く逃げな!!アレが来るよ!!』
shake
≪≪ドンッッ≫≫
いきなり背中を思い切り何かにどつかれ、転んだ。
「あぁ!!痛い!!イタイ!!熱い!!」
背中が焼ける様に痛い。まるで熱した鉄を押しつけられたようだ。
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『あーぁやられたね。背中の肉が崩れているよ。』
「私も・・・あの人たちみたいになってしまう?爛れてしまう?」
『大丈夫。それぐらいならスグに良くなるよ。アイツ等のは病気だから』
「病気?」
『そう、ここは空気も悪いし、食べ物も滅多に食べられないでしょ?』
『だから、アレにやられたり、身体の弱いものはすぐに病気になってしまうの』
「そうなんだ・・・早くここから出たい・・・」
『ここから出ても・・・』
「出ても?」
『いや、なんでもないよ』
そういって頬をかきながらお姉さんはどこかに歩いて行った。
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それから数日、いつもの場所にお姉さんが来なくなった。
どこを捜してもあのお姉さんが居ない。
ひとりはなんだか心細くて、必死に探していた。
岩陰の草木の中にしゃがみ込む人陰。
「お姉さん・・・?」
shake
『来るんじゃない!!!』
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しゃがみ込み背を向けたままのお姉さん。
その周りを取り囲む異臭。私は察した。
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『私はアンタみたいに若くないし、ここの生活も長かったからね』
『仕方ないとはいえ、自分の顔がこんなになるなんて悲しいモノね』
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『ここは神様の気まぐれの世界・・・私たちにはどうすることも出来ない』
『病気で死ぬも、餓死するも、全て神様の気まぐれのせい』
『もし、私たちが・・・・・・としてこの世界に産まれてこなければ・・・』
動かなくなったお姉さんは、どんどん上に昇っていき見えなくなった。
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「私は・・・これからどうなるの?神様・・・どうか私をここから出してください・・・」
ただただ、祈るしかなかった。だって、ここは神様の気まぐれの世界だから。
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ねぇーお母さーん
なぁに?
また、メダカ一匹死んでるよー
あらあら、すぐに取り出さなきゃ。
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アイちゃん、メダカにエサはあげたの?
あ、忘れてた~今日はパンの日♪仲よくお食べ~♪
毎日、エサはあげないとダメよ
ついつい忘れちゃうんだもん、気をつける~
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可愛いな~ナデナデしてあげよう♪
アイちゃん!水槽に指を入れちゃダメっていつも言ってるでしょう?
だって、ナデナデしたいいんだも~ん
人間の手で触るとメダカは怪我しちゃうんだから気をつけなさい。
は~い、お母さん。
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ここは、神様の気まぐれの世界
作者夢
ご覧いただきありがとうございます。
貴方は、自分の飼っているペット・・・大切にしていますでしょうか?