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短編2
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黒い影

当時はまだ小学生で、あまりに非日常な光景だった為、自分でもあれが本当にいたのかどうか分からない、自分でも自信を持てない話です。

私は一階のリビングで夏休みの宿題に苦戦し、何とかすべての宿題を終わらせることが出来ました。

宿題を終わらせた私を見た母は、宿題を二階の自室へ持って行きなさいと言いました。

私は両手一杯に抱えた宿題の山を手に二階へと向かいました。

私の部屋は階段を上がった先の目の前にある、襖の和室でした。

階段を上るとちょうど私が入れる程度、襖が開いていました。廊下から入る照明の光で電気のついていない私の部屋の中がうっすらと見えています。

私がスッと部屋に入るとそれはいました。

私と同じくらいの身長をした真っ黒な影が部屋の真ん中に立っていました。不思議なことに、私はその影が私に背中を見せていると直感的に感じました。

ギシッ…と板の軋む音に反応したのか、わたしに気が付がついたのか、影がこちらに振り向きました。

これも不思議なのですが、真っ黒な影なのに、あっ今こいつと眼があった。と感じました。

ここまで数秒の出来事ですが、私は一切の恐怖を感じませんでした。

ただ、影が背中を向けて立っている。そして振り向いた。そいつと眼があった。それだけしか考えることが出来ませんでした。

金縛りのように動けない私を節目に、影はゆっくりとこっちへむかって歩いてきました。そしてすれ違う瞬間、私は右肩をスッと影にぶつからないように避けました。

すると体がフッと軽くなり、何事もなかったかのように、部屋の奥の勉強机に山盛りの宿題を置きました。

そこでようやく私は、今起きた現象を頭の中で理解しました。すると急にとてつもない恐怖感に襲われ部屋を飛び出し二階にある祖母の部屋にダッシュし、祖母に泣きつきました。

当然信じてはもらえませんでした。

私自身あの影を見てから10年近く経ちますが本当にあの影を見たのか、あれは確かにいたのかどうしても確信が持てません。

しかし、影を避けないといけないと思い、右肩を避けたあの感覚だけは今でも忘れられません。長文失礼しました。

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