あるリゾートホテルでの話です。
時間は零時を過ぎ、ホテルの厨房で調理師が一人、残って仕事をしていた。
その時、普段は人の気配を感じると開く仕組みになっているセンサー付きの自動扉が開く。
調理師は誰か来たのかと顔を上げるが、そこに人の姿がない。
気にはなったが、何かの拍子で開いたのだろうと調理師は思い、仕事の続きをしょうとした時、ふと視界の先に長い黒髮に白い和装の若い女性が顔を俯せて立っていた。
なぜ、ここで黙って立っているのか?
調理師は女性に近づいて声を掛けるが、反応がない。
調理師は何度も呼ぶが、女性は何も答えない。
調理師は段々とイラついてついに声を荒げると女性は顔を上げてこちらに振り返る。
「私を殺したのはお前か?」
女性の顔はみるみるうちに皮が抉れ落ち、調理師を睨む。
その顔を見た調理師は驚愕し、腰を抜かし、気を失った。
作者退会会員