短編1
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呼び出しボタン

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俺の家はちょっとした田舎にあるんだ。念願の一軒家で、数週間前にやっと引っ越してきた。

これまでアパート生活だった俺にとっては風呂・トイレ完備の一軒家なんて夢だったから、

田舎だろうが中古物件だろうが気にしなかったんだ、その時は。

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つい先日のことだ。温度とかを調節するパネルには呼び出しボタンがある。もちろん

一人暮らしなので使った事がない。

そんな時、ふとガキの頃のことを思い出した。

「よくタオルを忘れて親を呼んでいたっけ。」

そんなどうでもいいことを思い出した俺は懐かしい気持ちでボタンを押した。

ピピピピ・・・ピピピピ・・・

無機質な音が家中に響き渡る。その時だった。

「はあぁぁぁい゛」

家の奥から異様な声が聞こえた。その声は女とも、男とも聞き取れた。

「こっちに来る」

異常なまでの恐怖と危機感を覚えた俺は風呂場から出ようとしたよ、体も拭かずにね。

でも遅かったよ、モザイクガラス越しに見えた異様な背丈の人間みたいな奴は

細長い手をぶら下げてたよ・・・。

後でわかったんだけど、あの家のすぐ近くって昔は震災の遺体安置所だったんだってさ。

田舎は何が起こるか分からないから、おまえらも気をつけろよ。

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