中編3
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私のおばさんの話

私のおばさんの、少し不気味な話を聞いて下さい。

おばさんは私の母の妹で、現在は母同様に実家を出て一人暮らし。

一度結婚したらしいのですが、いつの間にか離婚していたそうです。

私は物心ついた頃からおばさんに懐いていて、よく遊んでもらったり、色々な玩具を買ってもらったりなど甘やかされていました。

元々母とおばさんは仲の良い姉妹らしく、おばさんもちょくちょく我が家に来ていました。それは今も変わりません。

ただ、おばさんは我が家に来ると、決まって隣の家を気にしていました。

小さい頃はまったく気づかなかったのですが、おばさんはウチに来るとリビングから庭先に出て、そこから隣の家をじっと眺めていました。

大分昔に私が、隣の家が気になるの?と尋ねるとおばさんは「隣の家に誰が住んでるのか気になるの」と笑っていた。

隣の家についてですが、私が生まれる前から我が家の隣にあって、祖母が言うには一人暮らしのお爺さんが暮らしていたそうです。

ただ、おそらく事故か病気でしょうがお爺さんが家の中で亡くなってしまい、一人暮らしだった為に発見がかなり遅れたそうです。

それから暫くして、私が生まれるのと同時にくらいにそのお爺さんの、親戚と思しき中年の夫婦がその家に越してきました。

何度か家の前で見かけた事があるのですが、至って普通の夫婦でした。

母曰く、おばさんは謂わゆる視える体質らしく、隣の家で死んだおじいさんの幽霊でも見えてるんじゃないの、と笑っていました。

その話を聞いた頃、私はまだまだ子供だったので、おばさんは幽霊が視える!凄い!とはしゃいでいた気がします。

それから少しして、お盆の季節におばさんがウチに来ると、やはり庭先から隣の家を見ていたので私はおばさんに、幽霊いるの?とか、あまり覚えていませんが、率直に聞いた気がします。

ただその時のおばさんの様子は、今でもはっきり覚えています。

何だか少しむすっとしたような感じで、隣の家を見ながら「場所が違うなぁ」と言っていました。

私はおばさんが言ってる意味が分からなかった(正直今でも分かりません)のですが、おばさんが言うには隣の家の位置が少しづつズレているそうです。

少しづつ、少しづつ、我が家の方にズレて来ている、とおばさんは言っていました。

もちろん家がズレるなんて事はあり得ません。生まれてからずっと住んでいる私が見ても、隣の家が近づいているようには思えません。

おばさんも家そのものがズレているのではなく、家全体の雰囲気が、隣の我が家に漏れて来ているような感じ、と言っていました。

その時は、私は想像していたような幽霊の怖い話ではなかったので、おばさんの話を聞き流して、母とおばさんの実家の怖い話などを聞かせてもらったような気がします。

ただ先日、隣の家に住む奥さんから唐突に話しかけられ「昔この家(奥さんの住む家)の土地で、神隠しみたいな事があったって本当ですか?」と、いきなり聞かれました。

私はそんな話自体初耳だったので、知りませんと答え、後日祖母に話を聞いても「そんな話は聞いた事がない。そもそもここら辺の土地は昔は田んぼだったから、神隠しなんて事とは縁がない」みたいな事を言われました。

それから私は昔、おばさんが言っていた「家がズレてる」という話を思い出し、何だか不気味だなぁと思い、ここに書き込ませて頂きました。

ちなみにおばさんは今年の元日もウチに来て、やっぱり庭先から隣の家を見ていました。

次、おばさんが家に来たら、隣の家がどれくらいズレてるのか、神隠しの話とかをしてみるつもりです。

Concrete
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