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短編2
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母から聞いた話。

母は父を小学生の頃に亡くし、十代の頃は、いわゆる不良というやつで、特に中、高の頃はビーバップハイスクールのような世界で生きていたらしい。

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その日、祖母は夜勤の仕事に出掛け、弟(叔父)が部活の合宿でいなかったので、

母は不良仲間を数人、当時住んでいた団地へ呼び、酒にタバコだとワイワイ騒ぎ狂っていた。

深夜の2時を過ぎた頃、ピンポーン

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と、

チャイムのなる音が聞こえた。

こんな時間に誰だと母がチェーンロックの掛かったドアを開けると

そこには見覚えのないじいさんが1人立っていた。

すると「誰やー?」と不良仲間の1人のAが母の隣にやってきた。

「なんやねんお前?」と母がじいさんにガンをつけると、じいさんは

「自分は下の階の者だが、少し騒ぎすぎじゃないか」と母に言った。

よくある話で、下の階の住人が、騒いでいる上の階の住人に苦情を言いに来たようだった。

Aは酔いが回っていたのか

「なんで、お前にそんなこと言われなあかんのや」

shake

と完全にキレてしまい、今にもじいさんに掴みかかろうとしていた。

すると、さっきまでガンを飛ばしていた母が

「すみません!」といきなり頭を下げた。

「なんでお前がコイツに謝るんじゃあ!」

とAは更にカッとなったが、それも母は必死に抑えつけ、「もう静かにしますんで。お騒がせしました。」と更にじいさんに謝り続けた。

すると、じいさんも納得したのか

「これからは気をつけてくれ。」と言い、階段を降りていく。母もドアを閉めた。

納得のいかないAは「なんでお前あんな謝っとるんじゃ!」と母を巻くしたてたが

母は完全にテンションが落ちきっていたようだった。

おかしいと思ったのかAが「どうしたんや」

と母を問い詰めると、母は言った。

「チェーンしてたし、あんたの居た位置じゃ見えんかったんやろうけど、あのじいさん、右手に包丁持ってた。」

sound:19

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