中編4
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引っ越し

数年前、友達Aの引っ越し祝いを兼ねて、友達4名で遊びに行った時の話です。

遊びに行ったものの、まだ荷解きを終えておらず、物が散乱していたので、皆で手伝う事になりました。

間取りは1LDKでリビングから引き戸を開け、寝室に入れる作りでした。

皆で談笑しながら片づけをしていましたが、寝室に物を運ぶときに、時折誰かに見られているような感じがあり、気のせいだろうなと思っていたら、友達のBも寝室でキョロキョロと周りを見ていました。

Bも私と同様少し不思議な体験をしてきた人で、お互い「どう?」みないな感じで話をしていました。

せっかくの引っ越し祝いで水を差すのも嫌だし、勘違いだったら悪いので特にAには伝えず片づけをしていました。

ある程度片付いたところで、晩飯にAがピザを注文してくれ、皆でテレビを見ながら食べる事になりました。

テレビでは、携帯のAIと特定の会話をすると面白い答えが返ってくるという内容の物がやっており、

同じ携帯を持っていたAが、「ちょっとやってみようぜ!」と、携帯を取り出し、AIを起動させました。

A「付き合ってください」

AI「友達のままでいましょう」

「AIにも振られやがった!!」っと、一同大爆。

Aが「じゃあお前らもやってみろよ!!」っと順番に色んな事を聞いていく事になりました。

皆色々な事を質問していき、変な回答に笑いながら何周かし、携帯が私のところに来ました。

質問する内容も尽きてきたので、何にしようかなぁ~と考えていると

AI「すみません、よく聞こえませんでした」

私「ちょっと皆喋んないでよ、あとテレビの音をひろってるかもしれないから、ボリューム下げて」

とお願いをし、改めて尋ねようとすると

AI「すみません。よく分かりません。」

また?っと思いましたが、誰も喋ってないし、テレビの音もほとんど聞こえない程度でした。

そこで画面を見ると

「カ、カ、%※#」

のような文字が、認識した言葉として表示されていました。

皆顔を見合わせ、テレビの音もなく、シーンとした部屋に耐え切れず、

「もうやめよっか」

と特に追及はしないまま終える事になりました。

しかし、誰が何かを話すでもなく、場はとても重い状態でした。

私はAに携帯を返そうと、床に置いてあった携帯を掴み、Aに渡した際、

゛ポン!゛

っとAIの起動音が鳴りました。

どうやら受け取った際、Aの指がホームボタンにかかっていたようで、AIがすぐに

「そんな事言わないで下さい」

と返事をしていました。

AとAの隣に座っていたBが画面を覗くと

「うわっ!!」

と言い携帯を放り投げました。

ちょうど他のメンバーにも見える所に携帯が転がって来たので、覗いてみると

「帰れ」

その直後、

「〇〇(私の名前)!!!」っとBが私の方に指をさしていました。

私はちょうど、リビングと寝室の扉の近くに座っており、Bの指は私というよりその上の方を指していました。

嫌な予感がした私は、後ろを振り向かず、すぐ立ち上がり玄関の方へ走り出しました。

すぐに皆も外に飛び出し、とりあえず明るい所へ行こうと言い、近くの大通りまで走りました。

一息ついた所で、Bに何があったか尋ねると

私が座っていた後ろの引き戸が少し開いており、

そこから口をパクパクと動かしている顔が見え、

ゆっくりと引き戸が開いていったそうです。

Aにはよく見えていなかったそうですが、携帯AIの反応や、私とBの反応を見て、少しパニックになっていました。

とりあえず今日は戻らない方が良いと伝え、一番近いBの家に泊まる事になりました。

ただ慌てて飛び出したので、玄関の鍵をかけて来なかったので、皆で鍵だけ掛けに戻りました。

玄関近くは真っ暗で皆恐る恐る近づき

「カチャ」

無事に鍵をかけられ、すぐに退散しました。

とりあえず何事も無かったので、Bの家でホッとしていると、Aだけ凄く震えていました。

「怖かったよな・・・。」「思い過ごしかもしれないよ、変な事言ってごめんな」と皆で声をかけていると

Aが・・・。

「ごめん・・・。怖くて言えなかったんだけど」

「慌てて飛び出したから、電気とかつけっぱなしなんだわ・・・。」

「でもさっき戻った時玄関前が暗かった・・・。」

「扉の横に窓があって、部屋の明かりがそこから見えるはずなんだよ・・・。」

次の日、Aは不動産屋と大家さんに話しをしに行くと、すんなりと解約でき、特に違約金等も取られなかったそうです。

この一件以来、意図せずAIを起動させてしまった時は、慌てて電源ボタンを押すようになりました。

皆様も不意にAIが起動した際は、音声を認識している波線が揺れていないか注意して下さい。

直接は聞こえなくても、携帯を介して何かを伝えてくるかもしれません・・・。

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