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これは、私が修学旅行で体験した話だ。
修学旅行で泊まったホテルでの体験である。
泊まったホテルは山の上にあり、3階がフロントという奇妙な構造だった。
また、ホテルまでの斜面の道はずっと墓地の中を通るというものだった。
私は怖い動画を見た時に出演者の方が
「奇妙な構造をしている建物は、心霊スポットになりやすい」
と言っていたのを思い出してイヤな気分になったのを覚えている。
ホテルでは飯も不味く、風呂も汚く散々な目に遭った。
しかし、このホテルでの経験はそれだけに留まらなかったのだ。
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二日目の夜の事である。
一日目の夜は睡魔に負けて参加できなかった「怖い話大会」に私は参加することになった。
消灯時間を過ぎて皆布団に入り、顔を見合わせて話をすることになった。
友達の一人(A君)がとても上手く話し、皆ぶるぶる震えていた。
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ここで、私を含め何人かが、玄関でカサカサ音がしているのに気が付いた。
しかし話は続行になり、私が話すことになった。
私はネットで拾った話や友人の体験談を話そうと思っていた。
話し始めて、しばらくすると、
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コン。
壁を叩く音。玄関の方からである。
皆一斉に同じ方を見た。私が聞いていたカサカサ音とは違ったものだ。
顔を引きつらせて「こんなのあり得ねえ」と口々に言ったのを覚えている。
仕方なく、隣の部屋の奴に携帯で電話を掛ける。
砂嵐が聞こえた。
どうやらそれは隣の奴の携帯が壊れていただけのようだったが、私たちを震え上がらせるのには十分であった。
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「おい、すまないが壁を叩いてみてくれないか?」
「なんで?」
「いいから頼む!」
ドン。
隣の部屋から壁を叩く音がした。やはり方向も音も違う。何も言わずに通話を切り、皆で震え上がった。
「何なんだよ!」
「やべえ、このホテルマジでやべえって!」
A君「とりあえず…社長(私のあだ名)、続きをどうぞ」
「何でだよ!」
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結局私の話は続けることになった。その間も壁を叩く音は断続的に続いた。
玄関からもノック音がなっていた。
話が終わりかけていた時、
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シャーッ、キュッ。
シャワー音である。方向は、私たちの部屋だ…。
いよいよやばい、とみんなで部屋の真ん中でガタガタ震えた。
「だって今11時過ぎだぞ?今シャワーなんて人いるか?」
「しかもシャワーって長さじゃねえぞ?」とみんなで言い合っていると
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「誰か俺の背中触ったか?!」
と一人が言い始めたので今度こそまずいという事になった。
事の重大さをやっと理解したのか、話を続けさせようとしたA君も寝ることに同意した。
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「おい、どうしたんだ?」
「トイレ…だいぶ我慢してて…」
「よくこの状況で行こうと思うな」
一人(B君)が布団から起き上がってトイレへと向かった時、
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ドン!!
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shake
と壁の向こう側から叩く音がした。これまでで一番大きく、全員がはっきりと耳にした。
B君は音に弾かれるようにして戻ってきて、皆また真ん中で震え上がった。
「これはもうだめだ!」
とみんなで考えた結果、「赤信号みんなで(以下略)」を地で行く…電気をつけてみんなで踏み込むことに決めた。
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玄関前の襖は閉まっていた。「開けたらなんか入ってくるんじゃ…」と皆開けたがらなかったが、何としてもトイレに行きたいB君が開けてしまった。
電気をつけてB君に続き洗面所の扉を開ける(眠りかけていた奴を起こしてしまい、大変迷惑な顔をされてしまったが)。
トイレ、玄関、風呂場を見る。しかし、風呂場にはシャワーの形跡は残っていなかった。
結局みんなトイレに入り、電気を消した。
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翌朝、みな疲れた顔をして食堂に向かった。
隣の部屋の奴らに「昨日の夜、シャワー使ったか?」と聞くが「いいや?」と返って来た。
私達のフロアーの見回りの先生に「昨日の夜、俺たちの部屋ノックしました?」と聞くが「何もしていない」と返って来た。
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結局、あの部屋は何だったのか、私たちに知るすべはなかった。
友達があの部屋の玄関を写したが、うっすらとオーブらしきものが見えた。私もその写真を貰ったが、いつの間にか携帯のフォルダーから消えていた。
作者ㅤafter all
実話です。卒業旅行でまた行こうかと話をしているのでもしかしたら続きが書けるかもしれません。