中編4
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コンビニに住まう

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実体験です。

いままで何度かそういう体験をしたことがあるのですが、その中でも

なかなかレベルが高かったものを今回は話したいと思います。

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数年程前ですか、もうしばらく前のことになりますが私は家でテレビを見ていたんですね。

そうしたら、テレビで、『新作!コンビニのスイーツ!』という風だったと思いますが、

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某コンビニの新作のスイーツがテレビの番組で紹介されていたんですね。

私はあまりそういうのに興味示さないんですが、その時ばかりは

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「あ、これおいしそう」とまぁ一目ぼれしてしまって、三日後ぐらいにさっそくそのコンビニに行ったんです。

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sound:6

ちょうど、ムシムシして雨が降る梅雨明け直前でした。

よくいく近くのコンビニに普通に入店し、中にいたのは顔見知りの近所のおばあさんと

こちらもまた顔見知りの女性の店員さんがいて、いつも通りの風景でした。

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デザート系が置かれている場所は大体知っていて、くまなく探すと置いてありました。

「あっ、あった!」とさっそく手に取り、レジに行こうとした時です。

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だいたいコンビニって入口の近くにレジがありますよね。

そのレジと入口との間(というか入口の前)に黒いコート?を着て下も長ズボン、さらに

全身びしょ濡れの男性(たぶん)がいたんですよ。

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「あ。このヒトヤバい」と直感というか、今まで何度か心霊体験をした時に感じていた『悪寒』

を感じたんです。その悪寒は、言葉には説明ができなくて、なんというかその……背中を虫が

這い回り、耳鳴りではないんですけど直接脳内に

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ブーーーーーンと音が来るんです。説明下手ですいません。

で、なぜヤバいか感じた要因は、梅雨明け直前のこの蒸し暑い時に、分厚いコートと、これまた分厚い

長ズボンをはいているんです。さすがに変ですよね?

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本来なら近づかずにおばあちゃんと談笑とかして気を紛らわせた方がいいと考えるのですが、

その時は、「店員さん大丈夫かな?」という思いが増えまして、さらにこの場から

早く逃げたい(よーく考えたら入口の前に奴がいるんですけど)という思いが勝り、

レジに近づいていきました。

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近づけば近づくほど悪寒が増えていき、吐き気も起こり、体が重くなります。

そこでまた一つ、疑問点を感じました。

「この人が入ってきたとき、あの音が鳴ってない…」

コンビニに入ったら音、なりますよね。よく考えたらなっていないんです。

店員さんがいらっしゃいませとも言わないし、変なことだらけだったんです。

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いいや、気のせいだ!大丈夫と励ましながらレジへ歩を進めるのですが、一向にたどり着きません。

一歩一歩がとても重いのです。

やっとレジに着きました。そこでさらに疑問点に気づきました。

店員さんが黒男に一切反応しないのです。まるで、存在していないように…。

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もう限界でした。お金を払う手も震えて、店員さんに「大丈夫ですか?」と声をかけられても

反応できず、そのまま早く逃げようとしたんです。

黒男の横をさっと通れば大丈夫。そう思い、足早に駆け抜けようとしたら、

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shake

奴が、急に横に足を広げたんです。思わず「うわっ」とひきつった声を出してしまいました。

しまった、と思った時には遅かったのです。

奴がこっちに向かって顔をぐるっと向け、こちらの顔をじろっとにらみました。

その時気づきました

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目が、ないのです。言葉通りに目の部分だけがすっぽりと空洞になっていました。

気絶寸前でした。もうだめだ……と思った時、男が

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shake

「キヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタキヅイタ」

って。

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気づいたら、おばあさんと店員さんに抱きかかえられていました。

なんでも、急に苦しそうな顔をして、レジの方に向かって歩いて、

最終的に入り口付近で急に倒れたと。救急車を呼ぶかと思って大変だったよ!

とおばあさんに言われ、助かったというのを実感しました。

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結局、その日は家に帰ってスイーツを食べました。まだぼけぇとしていたのであまり覚えていませんが

おいしかったです。

ただいまとなってさらに気づいたことがありました。

奴、コンビ二の入り口の目の前に立っていたのにドア、開かなかったんです。

人を感知する機械に反応しなかったのでしょう。

オチとか何もないんですけど、ただそのコンビニは今はつぶれています。

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たとえコンビニだから、人や店員がいるから、と安心しないでください。

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その中に、『奴』がいるかもしれません…。

Concrete
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