小学3年の春、クラス変えも滞りなく終わりクラス内でも仲良しグループが出来はじめた頃の話
メガネを掛け背は平均的だが、やや痩せ形の男の子(しめじとする)が休み時間に夢の話をしてきた。
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「夢を見たんだよ。とくになんかある訳じゃないんだけど、数字の5が頭のなかに浮かんでずっと離れないんだ」
そのあと、なにかあったの?
「いやない。ただ、5って数字が頭から離れなくてさっきの算数の授業も頭にはいってこなかったんだ」
へー。
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次の日。
掃除当番の僕としめじは机を運んでいた。
「昨日夢見たっていっただろ?続き見たんだ」
へー、………なんだっけ?
「数字の5が頭からはなれないって夢。今日は数字の4だった」
へったね。5から4に
「なんなんだろ?」
さぁ?さっさと掃除終わらせてオレの家でゲームしよーぜ
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次の日は学校が休みで家で弟とゲームをしてたら電話がかかってきた。
「もしもし?しめじだけど」
どーした?
「また夢見たんだ。次は3だった」
しめじの声はなんだか少しおかしかった。
きっと夢のことが気になって仕方ないんだ。
もし、ゼロになったらどーなるんだろ?
「わからない。このままだと明明後日には………」
とりあえずさ、いま弟とゲームしてるからしめじも来いよ
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次の日。
宿題を忘れて先生に怒られたあとしめじから呼ばれて階段の踊り場に向かうとしめじは目の下に隈を作って言った。
「夢のはなし、2になってた。おれ、明後日には死ぬのかな?」
正直なところ、たかだか夢の中でカウントされてるからって大げさだと思った。
そんな事言ったらオレは夢の中で何度死んだり空から落ちたり魔王を倒して世界を平和にしたかわからない
気にしすぎなんだよ。ただ。
「いや、でもさ」
だいじょぶだって!
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「カウントが………1になった」
悲壮感がただならない顔でしめじは言った。
その日しめじは体調が悪いと言って学校を早退していった。
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さすがに気になってオレはいつもより早めに学校に来てしめじを待った。
昨日しめじの家に電話をしたらしめじ母が明日はちゃんと学校に行かせると言っていたから多分来るだろう
次第におはようの掛け声と一緒にクラスメイトが教室に入ってくる。その中にしめじを見つけて声をかけた。
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カウントはどうなった?
「カウント?なんの話してるの?」
え?この間まで夢で~って話してたじゃんか
「は?知らないけど?てかランドセル置かせて」
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学校が終わってからオレとしめじは二人で校門の前で話し込んでいた。
話題はもちろんしめじの夢の話。
だけどいくら言っても覚えていないの一点張りで、オレもなんだかどうでもよくなってその話題はすぐに消えた。
結局夢のカウントはなんだったのだろうか?いまでもわからない
作者緑の野菜
小学時代に体験した話を元に創作しました。