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中編5
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旅行

未だにあれはなんだったのか…?よくわからない話です。

確かまだ自分が幼稚園くらいだった頃だと思います。

自分は生まれてすぐ埼玉県に越して来たのですが、おばあちゃんの家が千葉県だったので、何かあるとおばあちゃんの家に家族で遊びに行っていました。

その日は親父が「車でおばあちゃんの家に行くよ!」ってウキウキした声で言ってたのを覚えてます。

自分はその日になるまで知らなかったのですが、旅行に行く日だったそうです。

眠いのに叩き起されて自分は機嫌が悪かったので行きたくないと思っていました。

ですが、お袋と親父はお構い無しで、車の中で宇多田ヒカルを聞きながらおばあちゃんの家に向かいました。

おばあちゃんの家に着くと、すぐにおばあちゃんとおじいちゃんを乗せて出発しました。

自分はとにかく眠かったので、ただ、ひたすら寝ていた気がします。

確か途中でご飯を食べたり、パーキングエリアでトイレに行ったりして、何処に向かっていたのかは覚えてませんが、だいぶ車に乗っていた気がします。

そして、気付いた頃には、外は真っ暗で周りに何も見えないくらい暗かった気がします。多分、山道を走っていたのではないかと思います。

その時の車は乗用車で、多分5人乗りでしたが、助っ席にお袋、運転は親父、後ろの席に姉貴、おじいちゃん、おばあちゃん、自分が乗ってて、今思えば大丈夫だったのか?と思います。(笑)

どのくらい乗っていたのか、ふと車の外に目をやると、なんだか通り過ぎる景色が変わって明かりがちらほら見えるようになってきました。

信号機、コンビニ、旅館の様な建物も見えましたし、お土産屋さんみたいのも見えました。今思うと多分山を越えた先によくある集落のような所を走っていたのだと思います。

「すごく古そうな建物だなー。」って子供ながらに思っていました。

途中、コンビニに寄って親父がタバコを吸ってる間にお袋が地図みたいのを開いて首を傾げていたのを覚えています。

親父が戻ってきて、地図を見るお袋に「この道で合ってるんだよな?」と聞くと、お袋が「大丈夫。この道で合ってる。地図にはそう書いてあるよ。」と言いました。

自分は心の中で「道に迷ったのか?お袋、方向音痴だし、地図ちゃんと見れんのかな?」と思いながら、親父は車を走らせました。

しばらく走って、信号が赤になったので、車も止まりました。自分は何気なく、窓の外に目をやると、宿のような建物の玄関先に立派な甲冑が飾ってありました。

甲冑って椅子のようなものに座らせた状態で、玄関先に出すものなのかと思いますが、今にも動き出しそうな威圧感?みたいなものをすごく感じました。

何処にでもあるような赤い甲冑だったと思います。

今思えば、玄関先に出して置くのではなく、夜まで外に飾っておくのは変かな?と思ってます。そこではそれが普通なのか、魔除けのような形なのかは、今になってはわかりません。

そして、信号が変わり、車が発信する時。

甲冑の兜の中に光る二つの目が見えた気もしましたし、光の加減とかかもしれません。

走り出してもその甲冑が気になって、振り返っても甲冑はそこ座ったまま、動いたりはしませんでした。

しばらく走って、また信号に捕まり、車は止まります。とっくに通り過ぎた甲冑が気になり、後ろの窓を見るために振り向きます。

しかし、何もなく暗いままです。

まぁ、いいか。と顔を戻そうとした時。

すぐ横の窓に何か見えた気がした自分は、顔を窓に向けます。

すると、窓の角の所に青白く光る手が窓に張り付いていたんです。

窓を叩く訳でもなく、ただ張り付いて、モニョモニョ動いていたのを今もハッキリ覚えています。

多分、大きい手なので、大人の手だと思います。自分は恐怖というより「なんだろう?」という気持ちしかなかったのだと思います。今だったら発狂してます。(笑)

子供だったからでしょう。

その青白く光った手は、モニョモニョ動いて窓から離れようとはしませんでした。

自分も窓に手をあて、大きさを比べても、大きかった気がします。触れる感触もなかったので、車の外に張り付いていたんだと思います。

車はすごく長く止まっていた気がします。

実際はそんなでもなかったのかも知れません。親指を窓越しに続いてみたり、しましたが、青白く光る手は離れません。

何も考えず、窓を開けようとしました。

今考えると何を考えたのかわかりません。

窓を少し空いたら、手が上に上がってきたんです。自分はやっと怖くなったのか、窓を閉めました。

すると、すぐ横にいたおばあちゃんが自分と青白く光る手に気付いた様子で、自分に小さな声で「絶対に窓を開けちゃダメ」と言われました。

それと同時に車が走り出し、青白く光る手はシールを剥がす時みたいにペロンと消えました。

しばらく走ってまた、信号で止まった時、窓を見るとくっきり手の跡が付いてました。

その後は何もなく、旅館につき、ご飯を食べ、お風呂に親父と入り、寝ましたが、どうしても青白く光る手が気になり、あまり寝れませんでした。その日は風が強く、旅館の部屋の外に見える竹の葉が激しく揺れていて、幽霊のようにも見えたのでなおさら怖ったのをよく覚えています。

次の日の朝、おばあちゃんにこっそり、話を聞くと、「あの青白く光る手のことは、みんなには内緒ね?」と言われました。

なぜ内緒にしなければいけないのかわかりませんでしたが、そんなこと言ったら多分親父たちが帰ろうとするから、そう言ったのでしょう。

これも後から知った話なのですが、

おばあちゃんは霊感が強く、お袋いわく、イタコ並に強かったそうです。いろんな体験談も聞かせてくれましたが、あの日の青白く光る手だけは、未だに霊だったのかわかりません。

よく話がまとまらず、忘れてるところもあったので、わかりづらいと思いますが、読んでいただいた方には感謝致します

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