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短編1
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おとなになるまで

何年か前の不思議な体験。

午前2時頃だった。TVで映画を見ていた。

ある瞬間からTVの上に小さな人の頭、頭頂部があることに気がついた。

恐ろしいことに少しずつ少しずつ上に移動してきている。一人暮らしだ、完全にこの世のものではない。

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この頭は正面を向いている。パツンと整えられた前髪が見え眉毛が見え、咄嗟に目を合わせてはいけないと思い視線をやや下にしたものの、色白で赤黒ずんだおかしな皮膚の質感もはっきり分かった。

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女の子だ。少女の目線は右上の方にある。必死に黒目が右上を見ている。恐怖で冷や汗と鳥肌が大量に出る中、だらんと半開きになった口元も見えた。次の瞬間、

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お と な に な る ま で

こ の こ と は な い し ょ だ よ お

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気味の悪い異様な明るい声が耳元で聞こえた。

はっと我に返ると、つけていたはずのTVは消え午前2時頃だった時刻はすでに午前7時。朝になっていた。

眠気はなかったので夢ではない。

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おとなになるまで。

この時すでに成人済み。彼女の意味する大人になるまでとはどういうことなのだろうか。

彼女が大人になるまでということなら、、、彼女は大人になれない。私は約束を破ったということになる。

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