短編2
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穴掘り

今から30年前の話しとなります。

私は今A県に住んでおりますが、育ちはS県でそこで起きた出来事をお話します。

幼児期の頃S県の小さな町でよく遊んでいた神社があった。

見るからに何かありそうな神社で、神様を祭っている縁台のような場所が木造で造られていた。

近所の子達とよくその神社には遊びに来ていて、木造の縁台の造りの囲いに入るもそこには手で描かれたような女の不気味な絵が飾られていた。

流石に夜来る人は居ないだろうといった感じである。

昼過ぎに近所の子達と一緒に神社に遊びに来ていた時、皆で周りの土に穴を掘ろうということになり、綺麗な石や何か解らない物が出てくるのを楽しんでいた。

ふと神社の後ろ側に目を向けると、誰もそこには入らないような場所があり近所の子達に

「あそこで穴掘ってみようよ!」と言ったのは私だった。

皆も面白そうということになり、そこを堀始めた。

石やゴミ、他は何か解らない物まで出てきて私はもっと深くまで掘ってみることにした。

スコップで一ヵ所深く掘って行くと何かにカッツーンと当たる音がした。

今度は手で掘って当たった何かを取り出してみるも皆が「〇〇ちゃん何それ?動物の骨じゃないの?」と言われ、よく見ると骨のような物だった。

子供ながらにも怖いという感覚がなくただの好奇心で面白い!と思った私は、皆が気味悪く思うのを気にすることなく幼稚園で着ているスモックのポケットの中に隠して家に持ち帰った。

夕方近くに家(当時は団地に住んでいた)に帰って

「お母さん、これ見て。猫の骨見つけたよ!」

っとスモックの中から取り出して見せてあげた。

子供ながら、それを見せたらお母さん喜ぶだろうなと思った私だった。

しかし母親の反応は…

「うわっ!何なのそれ?ちょっと貸しなさい!」っと大きな声をあげ新聞紙でそれを私の手から抜き取ったのだ。

その後、昔の電話はダイヤル式だったのでそのダイヤルを回し何やら父に連絡を取っている様子だった。

夕方過ぎに戻った父に「怒らないからこれは何処で拾って来たんだ?」と聞かれ正直に話した。

その日は早めに寝てしまい次の日幼稚園のバスから帰って来る途中その神社が見えた。

そこは神社の所に黄色と黒の入り交じったロープが張られていて、お巡りさんらしき人が何人かいた。

それが何なのか分かったのは、その地を離れ何年か経った頃に親から聞かされた。

あの日掘って土から引き抜いた猫の骨だと思っていたのは、その年の何年も前に埋められていた人骨だったということを…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
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両親すごい
相当大きい骨だったんだろうか

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