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これは昔、通っていた塾の先生の少年時代の体験談として聞いた話です。
50~60年ぐらい前の話で、夏休みには今とは違い塾通いに追われる様なこともなく
毎日近所の空き地で夕方まで友達と草野球に明け暮れていたそうです。
いつも行く空き地の隣には一人暮らしのお婆さんが住んでいて
よくボールが庭に入り込んでしまって、ボールを取りに入らせてもらっていたそうです。
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ある日、いつもの様に夕暮れ時まで野球をしていて、日も傾いて薄暗くなってきて
そろそろ帰ろうかという時に打球がお婆さんの家の庭へ飛んで行ってしまいました。
塾の先生(A先生とします)は親友のBくんと一緒にいつもの様に「ボール取らせてください」
と言って門から庭の方へと入って行きました。
いつもならお婆さんが「あらあらしょうがないねぇ」とか言いながら庭に出てきて
一緒にボールを探してくれたり、お菓子をくれたりするのですが、辺りを見回しても
庭に面した軒下の物干し竿に、いつもお婆さんが着ていた浴衣が一着干してあるだけで
人気がありません。
A先生は「最近お婆さん見かけないけど、出掛けてるのかな?」と思いつつボール探していると
Bくんが「ボールあった!」と言って、軒下に走って行きました。
が、そこでBくんがボールを握ったまま声にもならない叫びをあげてその場に座り込んで
しまいました。
A先生が「どうしたん?」と近づいて行くと、その時ちょうど物干しに干してあった
お婆さんの浴衣が風に吹かれてギィーッと音を立てながら向きを変えたところで
A先生も叫んで腰を抜かしてしまいました。
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物干しの浴衣は干してあったのではなく、浴衣を着たお婆さんが首を吊ってたものだったそうです。
作者ふぉれす