投稿が初めてのため、うまく出来るか分かりませんが…お付き合い頂けたら幸いです。
人に何度か話をしようとしたのですが、怖がりな人が周りに多く、話せなかった為、こちらをお借りして話をしたいと思います。
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今から10年前の話です。
同棲する為に彼とマンションを探していました。
見付けたマンションは、誰もが知っている東京都にある◯◯駅から歩いて5分。
2DKの2階の角部屋、家賃78000円。
「◯◯駅から歩いて5分、78000円は他じゃ絶対ありません!」
と不動産の方に言われ、二人で話し合い、そこに決めました。
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引っ越してから1ヶ月した位でしょうか。
深夜ベッドで寝ていた私に彼が
「おい…起きろよ」
眠かった私ですが仕方なく目を開けると、隣で目を丸くしている彼がいました。
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「……どうしたの?」
「ここ2階の角部屋だろ?この窓の外、人がいるって有り得ないよな…?」
2階の角部屋。
ベッドは壁の四隅にペタリと付け、ベッドの横に窓がありました。
窓の外は道路です。
「ベランダじゃないし…人がいたら怖いよ(笑)ベランダでも怖いけど……」
と最初は笑っていた私ですが、彼の顔が笑っていなく真剣に窓を見ているので、
「どうしたの?」
「…誰かがノックしてる」
「え?有り得ないよ…誰も立てないし…」
「マジだって!!」
彼の鬼気迫る表情に、緊張が走りました。
とりあえずカーテンを開けてみよう…と、彼が言い開けてみると、やはり誰もいませんでした。
「…ほら?ね、夢だよ」
私は、そう言いましたが彼は納得いかないと頭を悩ませていました。
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それから、数ヵ月は何事もなく過ぎました。
普通に生活していた、ある日。
彼と台所にいた時です。
ザーーーーー!!!
突然、水の流れる音が聞こえてきました。
「…上かな?」
はじめは、お互いに上だろうと思っていましたが一向に止まる気配がありません。
しかも、よくよく考えると音が近いのです。
「まさか、うちじゃないよね?」
二人で顔を見合せ、浴室を開けると湯気がこもり凄い水圧でシャワーが出ていました。
しかも、触ると有り得ない位の高温…
すぐにシャワーを止め、やっぱり変だな……そんな考えが頭を過りました。
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そのシャワーを切っ掛けに、色々な事が起こり始めました。
ベッドの中に、束になった大量の長い髪の毛。
尋常じゃない首の痛み。
何故かカビが生える服。
朝起きると、リビングが水浸し…など、数えきれない位にありました。
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そんな時、彼が出張になりました。
約2ヶ月です。
「私、怖いから出張無しにならないの?」
「なる訳ないだろ?ワガママ言うなよ」
そう言われたら何も言えません。
自分で会社を経営したい彼は、大事な時期であり、そんな中でも、同棲をしてくれた事に感謝していた為、迷惑をかけたくありませんでした。
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彼の出張が、あと1週間という夜。
彼がまだ仕事から帰宅しないマンションで、私は友達と電話で話していました。
すると
「ね、あんた今一人だよね?」
「そうだよ。なんで?」
「……さっきから、女の人の声が聞こえるんだよね」
一瞬にして体中に悪寒が走り、携帯片手に玄関を飛び出しました。
階段で今までの事を友人に話し、一人で部屋にいる勇気がなく、彼の帰りをまんが喫茶で待ちました。
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出張に行ってしまう前日は不安から吐き気などあり、彼が帰宅するまで実家に帰ろうか悩みましたが、私も仕事があり通いを考えると無理だと諦めました。
「なるべく早く帰ってね」
恐怖心からマンションにいる、姿の見えない女に、彼と引き離されている…そんな気さえしていました。
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彼が行ってから、しばらく何もない日が続き
「……やっぱり気のせいだったのかな?」
そんな気楽に考え始めていた、ある日。
夕方16時。
テレビを付けず無音の中、ベッドに横になり漫画を読んでいた時です。
ドンッ!!
急にベッドの下から、蹴りあげられた様な大きな衝撃に、体が一瞬宙に浮きました。
突然何かがあると人間冷静になるんですね…。
ベッドの下を覗き込んでみると、当然誰もいない。
「……?」
頭を傾げましたが、再びベッドに寝転んだ時
ドンッ!!ドンッ!!
今度は2回衝撃があり、体が2回宙に浮き、さすがに変だ…とベッドから降りようとした時でした。
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私を乗せたまま、ベッドは、まるで誰かが押しているかのように前に動きました。
一瞬の出来事。
ゆっくりではなく、すごい力で押されたような感じです。
突然の事に驚きながら、ベッドから逃げるように飛び降り、離れた所から確認すると、四隅にペタリと付けていたベッドが大人3人分くらい動いていたのです。
あまりの衝撃にパニックになりながら、荷物をまとめ、マンションを飛び出しました。
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彼が帰るまで、やはり実家から職場に通いました。
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彼が帰ってから理由を話し、もう住めないから引っ越そう…と決めました。
最後の最後まで、髪の毛の正体の女性をハッキリ見る事はありませんでしたが、見なくて良かった…本当に、そう思います。
引っ越した先で、そのベッドはまだ使っています。
買い替えよう…そう提案したのですがケチな彼。
「動くわけないだろ?大丈夫だよ」
彼の言うとおり、引っ越してからはベッドは動いていません。
作者なめまき