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これは私が19歳の頃、親の都合で引っ越した先で出会ったのぞみちゃんという友達とドライブに出掛けた時のお話です。
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「はるちゃーん、深夜のおデェトしないー?」
「え、いいけど...また変な場所じゃないよね?」
のぞみちゃんは視えはしないものの、怪異によく遭う巻き込まれ体質なので、一緒にいるとよく不可解な現象に巻き込まれたり、視えざるモノ達の気紛れで怖い目に遭わされたりして参りました...
しかし取り憑かんとする霊は近付くと弱っていくのでちょっと不思議なお姉さんでした。
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「今日ねー、お客さんから聞いたんだけど...すっごく穴場の夜景スポットがあって!女の子だけで行くと良い物と出会えるらしいよ!」
「のんちゃん...それさ...ちょっとは話がうまく出来すぎてるとか考えなかったん?」
「もしかしたらだよ?ケセランパサランとかに会えるかもよ?れっつごー!」
陽気すぎる...
こうして私も半ば強制的に連行される事となりました。私も巻き込まれ体質なのかしら...
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のんちゃんは目的地をナビにセットすると本当に楽しそうに運転を始めました。
「はるちゃんはるちゃん、何があるのかな?」
「良くないものだったら私引き返すって言うから絶対!!!!!それは約束してな。」
「よーし!ケセランパサランゲットだぜー♪」
「ケセランパサランって決まった訳じゃ...」
ダメです。この状態ののぞみちゃんには何を言っても聞こえません...
2時間程走らせた頃T県に入りました。
「のんちゃん、まだ着かないの?」
「あと30分位かな?」
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15分程走った頃、急にヒンヤリした空気となりました。8月にも関わらずこんな涼しいなんておかしい...
「のんちゃん、寒くない?」
「んー?ちょっと寒いから冷房切ろうかぁ...」
のぞみちゃんがいつもと違う...
いつもなら心霊スポットでもキャッキャ楽しそうにしているのに、ボーッとしていたのです。
「のんちゃん!のんちゃん!?」
「.....はるちゃん、あのね」
「どうしたん?」
「なんか怖い...」
「私もいるし、のんちゃんに憑く奇抜なのもいないから大丈夫だよ」
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薄々は分かっていました。
同じ場所を走っている事に...
悪い感じはしないのにどうして...
「のんちゃん、ちょっとおかしいよね?迷子になってるよな?」
「はるちゃん...出れないの。出れないよぉぉ!!!!!」
普段大きな声を上げたりしないのぞみちゃんが
出られない!!!!!出られない!!!!!と絶叫し始めました
これはヤバい...原因を探さなくちゃ、のぞみちゃんを落ち着かせなきゃ!!!!!と思いのぞみちゃんには街灯の下に停車させました。
「ねぇのんちゃん、お客さん他になんて言ってたか覚えてる?」
「うん...僕達行けないんだよね、としか聞いてないかも。」
行けない...?その言葉に引っ掛かりを感じましたが、ここは悪い感じはしない...でも抵抗をしたら良くない感じがする...
そう思い、その場所の検索や噂話などを探しましたが何も見つからないまま朝を迎えました。
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「長かったぁぁ!はるちゃんまた変な事だったねぇ〜♪」
いつもののぞみちゃんに戻っていました。
「今回はよく分からんのやけどさ.......って...」
私は少しの間固まってしまいました...
「はるちゃんどしたのー?」
「のんちゃん...ナビ見て...」
「えっ...昨日こんな物なかったよねぇ...?」
「うん。あったら私入りたないもん...」
今停車している場所は大きな十字路の真ん中でした。その十字路の4点には...
〇〇稲荷神社の文字が...
お稲荷様に囲まれた場所だったのです。
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後日のんちゃんがお客さんとやらに話を聞くと、その場所は昔から女の子が神隠しにあったり、迷子になると美味しそうな香りがして稲荷寿司やご飯を出してくれて、眠くなると家の目の前で寝ていると昔から言い伝えのある場所だったらしいのです。
何故男性が辿り着けないのかは謎(女好きなお稲荷様?)ですが、やっぱり今回ものんちゃんに巻き込まれてしまったという訳です。
停車中も出られない出られない出られない出られない出られない出られない出られない出られない出られない...と呟くのんちゃんが一番怖かったです...。
お読みいただきありがとうございました。
作者。❀せらち❀。
最後までお読みいただきありがとうございますm(_ _)m
10年前に行った深夜のおデェト(相手も女性ですが...)でちょっと怖い思いをしたので今回はそれを書かせていただきました。キツネにつままれる、はこれなんでしょうかねぇ...どうせならキツネの稲荷寿司とうどんセットでも食べたかったな(笑)