【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編3
  • 表示切替
  • 使い方

匂い

怖い話とは違うかもしれないけど個人的にめちゃくちゃ怖かった話を聞いてほしい。

高校時代の話になる

高校生にもなると汗の匂い?男の匂いが強くなってきて体育の後には必ず制汗スプレーなどで匂いを消していた。

nextpage

ある日事件は起きた。

その日は、地獄の持久走でいつも以上に汗をかいていた。だから、いつも通り制汗スプレーを使ったんだ。

いつも以上に勢いよく体全体にシューーーッて。

よしもう一回くらいって思ったときに、とんでもない匂いがしたんだ。

nextpage

鼻を押さえてもわかるくらいめちゃくちゃ臭いんだ。吐きたくなるくらいほんとに臭い匂い。

気付くと、周りで友達が笑っていた。

俺はすぐにわかった。こいつらのせいだって。

nextpage

友達が言うには、激臭の香水を丸々一本俺の制汗スプレーの中に入れたそうだ。

もう周りは大爆笑してるわけ。俺は臭い「自分」に1番近いわけでめちゃくちゃ臭かった。

この匂いが自分から出ていると思うと泣きたくなった。

友達はさすがにかわいそうと思ったのか、いい匂いのするスプレーを貸してくれた。

nextpage

だが考えが甘かった。激臭といい匂いのスプレーが混ざると余計気持ち悪い匂いになったんだよ。腐った生卵の中にショートケーキ入れたって表現がなかなか近いと思う。

もう次の授業まで時間がなくしょうがないから教室に戻った。

授業の始めの頃はみんな笑っていたが、そんな空気も5分くらい経つと俺を睨んでいるような気がした。

nextpage

俺が悪いわけじゃないのに、俺が睨まれていて友達に殺意が湧いた。でも、怒る気力もなく授業が早く終わることを必死に祈った。

寝てやる!と思ったが臭すぎて寝ることも許されなかった。

周りの奴らは、小さい声で「くせえ…」って言ってんの。

俺ほんとに涙目になってたと思う。

nextpage

友達はすぐ匂いが消えると思っていたんだろう。でも全く消えることはなかった。

昼食は、初めてのトイレで食べたよ。

なんで大便の方がいい匂いすんだよ!って小声でツッコミながらご飯食べてた。

nextpage

5.6限になると半分くらいの生徒がマスクしてるの。俺、それ見たときほんとに転校しようかって覚悟したよ。クラスに気になる子もいたのにそれを機に諦めたよ。

でも、その気になる子はまじで天使だった。

俺の方に来て、これあげるねってマスクくれたの。今思うと嫌味だったのかなーとか思うけどそのときの俺は声をかけてくれたことが嬉しすぎたんだよ。

nextpage

やっと授業が終わり、ホームルームもなんなくこなし、下校になった。

俺は自転車で駅まで行ってそっから電車に乗るんだけど、その電車がボスだった。

電車に乗った瞬間、3人が席を立ち違う車両へ行った。

俺もう顔真っ赤になりながらたぶん笑ってた。

nextpage

俺が降りる頃にはもう、その車両には寝てる4人と俺だけだったよ。最初はたぶん、15人くらいいたと思う。

やっと家に着いて、終わった…と思ったら親にあんた匂うよって言われて妹には、でてけ!って言われて。まだ外にいた方がマシなんじゃないかって思ったよ。

nextpage

真っ先に風呂に向かって5回くらい体洗って、だいぶん匂いも取れた。

とりあえず一安心してご飯も食べずすぐ寝た。

匂いがしないってこんなに感謝しないといけないことなんだなって思ったよ。

次の日、登校すると匂いはもうないはずなのにほとんどの人が俺の近くに寄ってこなかったよ。

nextpage

1ヶ月経った頃にはもうほとんどみんな忘れてはいたが、俺の中では一生残る傷ができたよ。

友達は夜ご飯5回分の奢りで許してやった。

ほんとに、すごい体験をしたって今になっても思うよ。イタズラするときは本当に限度を考えてやってくれ。

Concrete
コメント怖い
7
9
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信

なんかすごい心が痛くなった、、、
匂いってほんとに大切ですよね、、。

返信