短編2
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弁当箱

もう大分昔になる、大阪観光がてら東京から愛車でドライブの旅に出た。

途中の山奥で珍走族っぽい群れと遭遇した。

そいつ等のリーダーと同じ車種だった事で意気投合。こっちもいい気分になり道の駅でそいつ等に焼肉とビールをたらふく奢ってやった。

そうこうしている内に夜になってしまったので予定を遅らせてキャンプファイアーでもする事にした。

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誰も通りそうに無い古い公道まで移動して道路の真ん中で焚き火を始め奴等と酒盛りの続きを始めた。

深夜にもなると厨房みたいな恋話や喧嘩武勇伝の類は語り尽くしてしまいネタ切れとなると、リーダーが何やらおかしな話を始めたのだ。

強姦しやすい場所とか抗争で何人殺したとか山奥に自前の麻薬工場持ってるとか物騒な自慢話へと話題がシフトしていった。

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「女子供は飽きたら殺すのが当たり前」「やはり喧嘩はデスマッチに限る」「人肉マズイは大嘘」だとか独特の哲学を披露されて頭悪そうな仲間達もウンウン頷いて聞いていた。

俺だって盗みや喧嘩位は昔したが流石に薬と殺しはやってない。

刑務所に貴重な人生を貢ぐ事程愚劣な事は無いと思うからだ。

冗談としても気持ちのいい話では無かった。

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こんなホラ吹き馬鹿と意気投合してたのかと思うと酔いも覚めて来たので。へいへいと相槌打ってさっさと大阪へ向かう事に決め愛車に手を掛けると酔ったリーダーに土産包みを渡された。

適当に礼を言ってそのまま大阪へ向かった。

数時間経って飲酒検問で捕まりそうな勘(これがよく当たる)が働き腹も空いて来たのでサービスエリアに寄って車中で土産包みを開けた。

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それは人間の頭蓋骨をくり抜いて作られた弁当箱だった。

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その場で盛大に吐いてしまった。

弁当箱は即座にサービスエリアの林に投げ捨てた。

Concrete
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