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幼稚園生の時に起こった不思議なお話です。
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小さな頃からよく風邪を引いたり、流行性の感染症や謎の熱に悩まされていました。
病み上がりだった私は1月の寒さに体力を奪われないように、と母から外出禁止を言い渡されており、家の中でピアノの練習にでも励め!と楽譜を渡され、外で遊ぶ友達を羨ましく思いつつ夜になるとピアノの先生からちゃんと連絡したか?の確認の電話が毎日恐ろしいのでピアノを弾いて居ました。何度も同じ曲を弾き、少し疲れてしまったので母に何か食べたいと言った時でした。
トントン トントンと誰かが玄関のドアをノックします。ノックの後、その正体は声で分かりました。
「はーるやんっ!あーそーぼー!」
当時の私を"はるやん"と呼ぶのは1人しかいません。
そう、香菜ちゃんです。母と共に玄関を開けるとどこから貰って来たのか大量のダンボールをソリに乗せた香菜ちゃんがダンボールハウス作ろー!と言いました。
母はダンボールが大嫌いなので家でやらないでね?と私と香菜ちゃんに言うと渋々外で遊ばせてくれる事になりました。
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母の言葉を聞く前に香菜ちゃんは家の前に10枚程のダンボールを下ろしていました。私の家の庭先は屋根が付いており、雨が降っても外で遊べる仕様になっていたので香菜ちゃんは私の家を選んだ様です。
「香菜ちゃん、うちの前でダンボール遊びせんでよー。ママに怒られる...」
そう言っても香菜ちゃんは譲らず
「大丈夫!帰る時香菜持って帰る!お片付けする!」
と約束して嫌々ダンボールハウスを組み立てていきました。そうは言っても園児の作るダンボールハウスですからダンボールとダンボールをガムテープで組み合わせ、蓋となっている部分を出入口にして完成です。
「はるやん!ぬくいよ!ちゃんと床もあるきお尻もぬくいよ!」
出来上がりに満足した香菜ちゃんはドヤ!と言った具合にダンボールハウスの中で仁王立ちしていました。私もひょこっと入ると温かい空間がそこにはありました。
「ダンボールってあったかいん??何でやろね?」
子供用の布団が敷ける位の広さで、私と香菜ちゃんはいいね、ぬくい!今度は秘密基地!と話をして盛り上がっていました。すると香菜ちゃんは突然
「かーえろっ。眠なってきたぁ〜」
と言って帰ろうとします。片付けの約束を守って貰わないと叱られる!!!!と思った私は
「お片付けするってお約束したやん!手伝うから片付けて帰ってよ〜!」
と必死になります。使っていないダンボールをソリに乗せ、さぁダンボールハウスも取り壊そう。と言う時でした。
「もう香菜寒いから嫌や。明日やるから今日帰る。」
そう言うので、母に聞こえる様香菜ちゃんが片付けてくれん!!約束破った!と大きな声を出しました。すると母が出てきて、
「二人共家の前でダンボール遊びするのダメって言ったやろうが!!!!!どうすんの!?片付けてからやないとダメやからね!」
それはそれは恐ろしい顔で怒りましたが...当の香菜ちゃんは、しーらないっ!いちぬけぴーー!っと言うと帰ってしまいました。
悲しくなった私は泣きながら母に説明すると延々とお説教される事になりました...
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夜になり、もぬけの殻となったダンボールハウスは月明かりに照らされ子供の私からすると中に何か居たらどうしよう...と不気味に思えて、見ないようにカーテンを閉めます。母もダンボールを解体して纏める事を考えてイライラしていました。今日に限って父は出張で、気まずい夕御飯の時間を過ごす事になってしまいました。
「明日香菜ちゃん片付けるって言った。」
明日になれば持ち帰ってくれるであろうと母の顔色を伺いながら伝えると
「んなもん嘘に決まってるやろ!」
と一声...再び気まずい時間を過ごしました。
8時くらいだったと思います。私の布団一式と毛布2枚を持った母はダンボールハウスの中に布団を敷きました。
「ママ?なんしよん?布団捨てるん?」
「これ、はると香菜ちゃんの家なんやろ?やったらそこ住み!」
と怒りながら私を外に放り出しました。一瞬ポカン...としていてそのうち開けてくれるやろ...ととりあえずの寒さ凌ぎでダンボールハウスへ入ります。2時間が経った頃でしょうか...まだ許して貰えないのか?母は本当にここに住ませるつもりか?と不安になり、泣きながら玄関を叩きました。
「ママー!許して開けて!怖い!」
「知らん!反省しろ!」
そう言ってダンボールハウスに面した部屋の電気は消されてしまいました。最悪の状況です。
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泣き疲れた私はそのままダンボールハウスでうつらうつらしている時でした。
shake
ドスッ!!!!!!!!!!
ドスッ!!!!!!!!!!
誰かがダンボールハウスを殴っているのか体当たりしてくるのです。
「ママ!?ママなん!?」
沈黙が続きます。ふぅ、とまた悲しく思っていると、
shake
ドスッ!!!!!!!!!!
ドスッ!!!!!!!!!!
またダンボールハウスが揺らされます。怖さの最高潮に達した私は動いたらだめだ。と身を潜めていると、今度は正面を向いた方から
大きく浮き上がったかと思う程に
ドシン!!!!!!!!!!!!!!!と振動とお尻を打った痛さにママじゃない...きっとオバケだ...悪い子お仕置きするオバケが来たのだ!と思うと
shake
「ママ助けてー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
と絶叫していました涙と闇で何も見えません。何事かと母が慌てて出てくると、
「なんやこれ...」と青ざめていました。母に這い寄りダンボールハウスの外へ出ると、ダンボールハウスを切り付けた痕...殴った様な痕がありました...。
母の表情を見てからダンボールハウスを見た私は、思わずギャー!!!!!!!!!!と驚いてしまいました。そしてダンボールハウスの周りにはヌルッとしていそうな灰色のスライム?が途切れ途切れに1周残されていました。母は何か嫌な予感がしたのか、私の布団と私の手を繋ぐと玄関に常備してあった塩を振りかけられ、お風呂に入る様に言われました。そうして温まった私をコタツに入れると、お仕置きオバケが出たんやないの?次こんな事したらもう助けんよ。と言い、香菜ちゃんの家へ電話している様でした。
明日香菜ちゃんと香菜ちゃんのお母さんとでお詫びに来る事と、なんと香菜ちゃんも今ダンボールハウスに閉め出されて呑気に寝ていると言う物でした。
母から私の事を聞いた香菜ちゃんのお母さんも恐ろしくなりダンボールハウスから香菜ちゃんを引き摺り出すと思いっきりビンタしたそうです...
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次の日泣きながら謝ってくる香菜ちゃんと、お母さんから、香菜ちゃんの家の玄関にも残されていた灰色のスライムの話を聞きました。
母も香菜ちゃんのお母さんもそんな噂は聞いたことが無いとの事で、これからダンボール遊びはしない約束を固くさせられダンボールハウスを香菜ちゃんのお母さんと母がサッサと片付けるとそのダンボールハウスの残骸を香菜ちゃんはソリで気まずそうに持ち帰りました。
あれが何だったか私にも母にも分かりません。
香菜ちゃんも気味悪がってダンボール遊びは辞めたそうです...
作者。❀せらち❀。
本当に怖かった...
何より墓地が近かったのが夜の屋外で一番怖かったです。
灰色のスライムは臭かったです。何とも言えない臭さ...
眠い中ふと思い出し書いたので文章が滅茶苦茶だったらごめんなさいorz...