これは、あなたにも起こりうる話です。
ある女が、一人で子供を産んだ
病院にも行かず、たった一人で……
女は子供を愛せると信じた
たとえそれが、レイプによる妊娠だとしても
女は、親に愛された事がなかった…記憶には、彼女を殴り、食べ物すらろくに与えない母親
兄ばかりを、溺愛していた
それでも、親に愛される日が、いつか来ると信じていた
そんな日は、永遠に閉ざされてしまった
彼女だけを残し、遊園地に遊びに行った両親と兄は、天罰のように、事故死したのだ
部屋に残された彼女を発見したのは、家賃の滞納の処理にドアを開けた大家さん。
息も絶え絶えな彼女は、施設に保護された
彼女の人生で、一番安堵した時間だったかもしれない。
やがて、中学卒業で就職、
そして、そのさらなる悲劇は起きた
寮への帰り道…暴漢が、彼女を襲いレイプしたのだ
数ヶ月後、妊娠が発覚……周囲は、堕胎をすすめた
愛されなかった彼女は、唯一の家族である、お腹の子供を手放さなかった
産まれるまで、慈しみ語り掛けた
産んで数日は、幸せだった
けれども、お金も保護を受ける方法も知らない彼女は、いつか追い詰められていった
ある夜………気が付くと、生まれてまもない我が子の首に手をかけている……子供のかすかな泣き声で我に帰る彼女……
虐待の連鎖……そんな言葉が脳裏に浮かんだ
彼女は、深夜の産院の前にに幼子を置き、遺書を残し海に飛び込んだ………
幼子は、暖かい手編みのおくるみに包まれていた……遺書には、“子供を頼みます。私は、虐待の連鎖を自分までで、止めるだけです”と………………………
怖い話投稿:ホラーテラー 化け猫さん
作者怖話