黒電話が鳴った。
取ると、
『時間だ』
と言われ、それから1時間、外の見回りをしなくてはならないらしい。
公園のブランコで、夕日の沈みかけた海を眺めていると、1時間はあっとゆう間だった。
こんなにゆっくり過ごした時間は最近あっただろうか?
そう思ったら腹が減って小屋に戻った。
冷蔵庫を開けると、2週間分は十分過ぎるほどの、食料と水分が用意されていた。
『私はこんなに大食いじゃないもん』
と思いながら、市販のおにぎりと、唐揚げを2つ3つ摘んだ。
黒電話が鳴った。
すっかり眠ってしまったため、びっくりして飛び起きた。
『時間だ』
時計に目をやると深夜1時を回っていた。
流石にこんな夜中に1人で外に出るのは怖い。
気を紛らわすため、冷蔵庫に入っていたカチカチに凍ったチューペットをもって外に出た。
こんなに堅いチューペットなら、不審者が現れたとき武器になるし、氷が溶けて食べ終わる頃には1時は経ってるだろう。
公園に上がると、思いのほか明るかった。
壊れていたと思った一本の電灯が不気味にブランコを照らしていた。
これだったら、真っ暗の方がまだましだった。
それでも、1時間は意外と早く過ぎた。
勇み足で小屋に戻ると、ほっとした。次の電話は9時だから、7時間は寝られると思ったからだ。
初日の疲れもあってからか、直ぐに熟睡出来た。
どれくらいの時間が過ぎただろうか、急に目が覚めた。時計は3時過ぎを指していた。電話ではない。しかし、何かの音がして起きたのだ。
ギギ…ギギ…
この音だ、最初は風でドアが軋っているのだと思ったが、どうやら、天井の上から聞こえてきた。
ギギ…ギギギ
その音はの正体に気づいた時、鳥肌がたった。
ブランコだ。
ブランコだと一度思うと、もうブランコ以外には聞こえない。
ブランコに乗っているリストラされたサラリーマンの姿すら、目に浮かんだ。
さて、どうしようか?
時間外だから、無理に止めることも無いだろうが、どうも気分が悪い。
一旦布団に潜ったが、我慢出来ず、公園に上がっていった。
遅かった。公園には誰一人居ず、ブランコだけがかすかに揺れていた。
小屋に戻ると、やはりギギとゆう音は消えていた。
ジリリリン
ジリリリン
電話が鳴った。
二日目が始まった。
すいませんつづきます。
怖い話投稿:ホラーテラー くじらUFOさん
作者怖話