つい先日、私が体験した実話です。
私は2017年の8月お盆明けからとある大学病院に約2週間入院していました。
毎日特にする事もなく、携帯をいじっては食事まで時間を潰す毎日。
夕食は18時30分頃で、食事の量が少ない事が何よりツラい事だった。
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また、その病院では毎日20時まで面会可能だった為、20時を境にそれまで居た面会者の話し声が急に無くなり静まり返る。
22時には消灯…そんな日々の繰り返し。
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私は目の手術をし入院中は眼帯で過ごす事になった為、人目を気にして地下1階にある院内コンビニに行くにも躊躇するほどだった。
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入院から1週間ほど過ぎた頃、その日も小腹が空いた事から、面会者が居なくなった20時過ぎにいつもの様に地下1Fにある院内コンビニに買い物に出かける事にした。
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地下のコンビニに行く為にはエレベーターに乗るしか方法がない。
病室からエレベーターホールに出る為にはフロアの入院患者か、関係者のみが入退出できるセキュリティーがあった。
そのセキュリティーを通過し、エレベーターホールに出て8基あるエレベーターのうち1つが「チン!」
sound:16
と鳴り、そのエレベーターに乗り地下に降りた。
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それから15分くらいして立ち読みやら買い物を済ませ、自分の病室がある7階フロアに到着しエレベーターから降りた。
エレベーターホールは8基のエレベーター乗り場がある為、そこそこの広さがあった。
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shake
5〜6歳の男の子が居る事に気付いた。
その子供はエレベーターホールの端で膝を抱えて座っている。
面会時間終了から15分以上も過ぎて、しかも1人きりで…
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よくよく考えると不思議な話しで、右目に眼帯をしていたにも関わらず、エレベーターを降りて右奥の気配を感じた。
眼帯を経験された方なら分かってもらえると思うが、眼帯側の視界は狭く、普段に比べて見えづらいもの。
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しかし私は特に「おかしい」とは思わず、その男の子に「病室入る?」と聞いてみた。
きっとまだ面会者が病室内にいて、その家族を待ってるのだと思ったからだ。
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またその男の子は誤って他の面会者にまぎれてエレベーターホールに出てしまったものの、セキュリティゲートが閉まってしまい病室に戻れなくなったのかな?とも思った。
それらは一瞬にして思いつき、その子供に声をかけるに至った。
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しかし、私が声をかけた事に対してその子供は非常に驚いた表情をした。
その男の子は目を大きく開き、「う〜うん」と首を左右に振った。
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「おじさん、僕が見えるの?」という様な表情、そしてとても悲しそうな表情だったのを今でも思い出す。
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その場では特に気にもならず、その男の子に「そっか」と一言かけてセキュリティーセンサーに立ち、病室への出入り口を開けた。
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shake
そして再度その男の子の方向を見ると既に居なかった。
私がその男の子に声をかけてから5秒くらいのわずかな時間で、その場から居なくなる方法は無いはずだ。
エレベーターが到着すると「チン!」と大きな音が鳴る。
その音は一切しなかったのでその男の子がエレベーターに乗ったはずは絶対にない。
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その時初めて普通の男の子じゃなかったんだと感じた。
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それから何とも言えない気持ちで薄暗い廊下を歩きながら病室に戻る時、ある事を思い出した。
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その男の子を何日か前にも見てる事を…
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その事があった数日前にも他の家族の中にまぎれてエレベーターホールにその男の子が居たが、その時はその家族と一緒なんだろうと思い何も気にしなかった。
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しかし、その時もその男の子は私の事を見ていた事を思い出した。
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その男の子は何回もそのエレベーターホールに出現していたのだ。
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きっと今も病室に入れないまま…
作者レスッチ