wallpaper:2148
今日は高校生活最後の日。
卒業式だ。
朝から晴天に恵まれ
ぞろぞろと生徒達が校舎に入っていく。
楽しそうに駆け込む生徒もいれば
肩を落として寂しそうに教室へ向かう生徒もいる。
nextpage
wallpaper:2148
3年間通った
いつもの風景
「今日で最後か」なんて思うと
ちょっぴり寂しい気持ちがした。
nextpage
wallpaper:2148
そんな
ありきたりで
ごく普通の卒業式は始まり、
あっという間に式は終わった。
そして下校の時間がやってきた。
nextpage
wallpaper:4011
一番仲の良かった友達と校舎を出る。
私が通った高校は
昼間だから目立たず
特に気にかけたこともないのだが
校舎正門の目の前に
nextpage
wallpaper:2124
6畳くらいのスペースに
窮屈に並ぶお墓がある。
ふと、そこに目をやると
お墓の前には
nextpage
wallpaper:4018
年増の女性が2人。
立ち話をしていた。
nextpage
wallpaper:4011
下校する大勢の生徒と
お墓の前で会話している女性2人の空間に
私は奇妙な違和感を覚えた。
友達と一緒に
その女性の近くに寄って
話している会話に耳を立ててみた。
nextpage
wallpaper:4018
女1「もう来るわ」
女2「何処にいるのかしら」
女1「あの子じゃないわね」
女2「あの子でもないわね」
nextpage
wallpaper:2124
誰か知り合いでも探しているのかな?
いや、たぶんそうじゃない。
思い切って女性の至近距離に
近づくと一人の女性と私の目があった。
nextpage
wallpaper:4018
女1「あなたは、まだ大丈夫だよ」
女2「長生きできるわ」
nextpage
wallpaper:4011
私は友達の手を思いっきり掴み
全速力で走って校舎を後にした。
作者使者