短編2
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破格の物件

私がこの話を知ったのは、YouTubeだったと思います。

東京のどこそこに今でも実在する激安物件の話です。

激安と化すきっかけとなったのは、以前そこで暮らしていた人が、大掃除の際、押し入れから見つけた一本のビデオテープが原因でした。

エッチな感じのものだろうと思い、軽はずみな気持ちでつけたそうです。

すると、そこに映っていたものは…

この部屋でした。

映像は酷く荒れていて、まるで、白黒映画を見てるようでした。

音も乱れて聞こえてきます。

暫く待っていると、男がカップラーメンをもってやってきます。

その男が(前の住居人だと思う)ラーメンを食べたり、テレビを見たりと、何の面白味もない映像です。

因みに、私もこの辺で気づいたのですが、どうやら、このビデオの映像は、その男が自ら設置した固定カメラのようです。

暫くすると、男は寝息を立てて昼寝を始めました。

因みに、6畳程の和室で、1階だったと思います。

カメラの位置からして、恐らく玄関方向から撮ったもので、右に襖。

正面にテレビと曇りガラスの窓。左には台所が見えます。

男が昼寝をしていると、

ドンドン。

と玄関を叩く音が真後ろから聞こえてきます。

ドンドンドンドン。

その男は気づいていないのか、一向に起きようとはしません。

私もその時は、借金取りかなんかだろう。と思ってましたが、どうやら違うようです。

曇りガラスの5メートルくらい向こう側に、髪の長い赤いワンピースを着た女性が立っているのが見えます。

そして、ゆっくり近づいて来るのです。

が、その動きが不自然なんです。

まるで、ベルトコンベアに乗ったように、直立不動で近づいて来るのです。

そして、窓に頬や額をくっつけて、中を見ようとしています。

その時、私の勘違いかも知れませんが、あることに気がついてしまったのです。

その女は、実は女装をした男ではないかと。

その後、真下にすーっと消えていきました。

映像はここで終わり、砂嵐になります。

実は後から分かった事ですが、その映像の中に、一部始終を襖から覗いている顔あったのです。

一度目に見たときは絶対無かったと思うんです。

怖い話投稿:ホラーテラー くじらUFOさん  

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