とあるコミュニティーサイトのオフ会で、食事、談話、カラオケととことん遊んだけれど、各々の持ち歌も無くなってくると、流石に場が盛り下がる。
まぁ、この時のメンバー、私を中心にすれば「友達の友達」って感じの気軽な面子だっから私は解散でも良かったんだけど、初対面同士で打ち解けてると、まだ話したい、って思ってたみたい。
それとなく何度か頭は出してたんだけど、っていうか、万遍無くわたしが把握している限り今回集まったメンバーって、所謂オカルトマニア。
類は類を呼ぶってね。
ごく自然な流れで心霊スポット巡りが次に組み込まれたの。
まずはコツトン。
これは地方の呼び方かな?
そのコツトンこと、コツコツトンネル。知らない人の為に補足すると、【トンネルの真ん中でエンジンを切り、クラクションを3回鳴らすと怪異が起きる】みたいなの。実際に子供の手形が車中についてたりした、なんてのはこっちでは有名なハナシ。
まずは、そこ。
…、て言ってもそれは古いトンネルでのことらしいから、新しくできたコツトンで何か怪異が起こる訳でもなく。出だしはこんなもんでしょ、って次にゴー
次は、一家惨殺があったっていう民間を訪ねた。
網戸が開いてたらヤバイ、ってウワサだけど、一見どっち向いてたら開いてるかなんて分からないから取り敢えず記念に家の写真を撮る。
前もって買っていたお酒と、常備のお線香(w)と、軽く経を唱えて、皆で民家の周りを一周・のち、家をバックに記念撮影。
心霊写真撮れてないかな?ってデジカメ皆で回して見てたら、M子が急に険しい顔になった。
よく見てよ…手渡されたデジカメとにらめっこ。どこがおかしいの?もやもオーブも、何も写ってない、ケド………あ、
最初に撮った写真の網戸は右側にあるのに、皆で撮った写真の網戸は、左側にある………
勿論、誰かがイタズラでそうした可能性は低い。団体行動だったんだから。…もし、万が一網戸を動かしたとしても、…音がするから絶対に分かる。無論、曲がりくねった長い坂道の上にあるその民家付近にひとけはなく。
…コツトンで何もなかった分、おおはしゃぎ。
最後は、隠れたホラースポット。私も行ったことがない、すごくマイナーな場所。多分、マニアでも知らないような。
でも、着いて圧巻。多少のことでは怖がらない私でも嫌な予感がした。狭い、舗装されてない砂利道を進むと、脇に何百という石像(お地蔵さまからお稲荷さん、得体の知れないものまで)がびっしりと並べてあった。
行き止まりまで進むと、夜景が綺麗な場所に出る。…ただし、回れ右をすればおどろおどろしい鳥居に、(正しくないだろうけど、便宜上)祠がある。
軽口を叩きながら、最後ということもあって一人ずつ祠にお線香を上げに行くことになった。
暗いから、皆はケータイとか、ジッポの灯りで足元を見ながら進んでいったけど、私は夜目がきくほうだったから、明かりはなしに祠に向かう。
皆お線香をあげて、一服。
時間を確認しようと思ってポケットに手をやるけど、
……ケータイが無い!!!
此処に来て丁度時間を見たから、落としたとすると、私が歩いた道…。
総出で、ケータイ捜索が始まったけど、見つからない。
車から祠まで直線。しかも、鳥居が数本並んで立っているからアスファルトを歩くがごとく道を違える筈が無い。
ここで、「鳴らしてみるわ」、とT君。閑散とした中に、不釣り合いなオルゴールの音色が響く。
「あった!」
あーあ、最初から鳴らしてれば早く見つかったのに。
土を払いながらキズがついてないか確かめる。
…と、T君が急に私の腕を引っ張って車に乗せた。それからは、逃げるようにその場を去る。
「確かにヤバイ霊はいっぱいいたけど、危害加えるわけじゃなかったし……!!」
ぶっちゃけ、私って頭弱いコ。小さいころから見てたからか、危機感ゼロだった。それ以上に、日常でもバカだったみたい。
「お前のケータイ落ちてたとこ、鳥居(道)から5メートル以上離れてただろう!!あんなとこ通ったか?!しかも、ヤヴァイ顔の女がずっと着いて来てるんだよ!!!」
嫌な予感がしてケータイの着信履歴を見ると、非通知でうめつくされていた。
怖い話投稿:ホラーテラー 常世さん
作者怖話