三人はそのまま宿に戻ったのですが…、
Cは一向に帰って来ませんでした。
夜も遅くなって来たし、何となくこの海の噂も聞いていたので心配になり警察に連絡することになりました。
後日
Cが遺体で見つかったと連絡がありました。
やはり海に沈んでいたそうです。
三人とCの両親が身元の確認のために呼ばれました。
死体安置所に案内されると何体もの袋に入った死体と思われる物が置いてありました。
この中にCが……。現実感が増して、三人と両親は号泣する寸前でした。
少しずつ中に進むにつれて、妙な物が目に入って来ました。
幾つもの死体とは別に、床に置かれ布の様な物を掛けられた長さ2m以上ある物体が横たわっていました。
何だろうと思っていると、だんだんとその物体に近づいて行きます。
まさか!と思っていると警察が「こちらです。確認をお願いします。」と、軽く目を泳がせながら言いました。
確認の結果は間違いなくCだったそうです。
しかし当然のことながら、この異様な長さが気になります。
Aが尋ねると、「見ない方が……。」とのことでした。
それでも食い下がると、警察は渋々布を取り払いました。
するとそこには、
満面の笑みを浮かべながらCの足に抱きついた老婆がいました。
その目はしっかりとCの顔を捉えていたそうです。
あまりのことに叫び声を上げる者や、泣き出す者もいました。
「何とか取ろうとは努力したのですが…。あまりにきつく抱きついているため断念してしまいました…。」と謝罪する警察。
軽いやり取りの後、5人はその場を後にしました。
後日談になりますが、その老婆は1ヶ月も前に波に流されて行方不明になっていたそうです。
死して尚、生あるものにしがみつき、陸へ帰ろとしていたのでしょうか……?
怖い話投稿:ホラーテラー LJさん
作者怖話