ある日を境に、俺の周りで不思議なことが頻繁に起こり始めた。
ある夏の出来事
もともと水に顔をつけるのが苦手で、当然泳ぎは不得意。
水泳の授業は、わざと水着を忘れたり仮病を使って極力避けていた。
しかし水泳大会は全員参加。両親も来るということで逃げ道はなくなった。
恐る恐る飛び込み台に立ち、意を決して水の中へ。
ん?不思議と息が苦しくない。泳ぎは下手だがなんとか15メートルを泳ぎきった。
ある冬の出来事
バレンタインデーが近く、気になるあの娘の気を引く為、柄にもなく身体を鍛え始めた。苦手な朝でもふと目が覚め5キロのジョギングを終え学校に行き、帰宅すると腕立て腹筋に背筋という生活を1週間続けた。
慣れないことはするもんじゃない。風邪を引きガタガタと震えながら布団にもぐるハメになってしまった。
はぁ、俺はいつもこうだ。。。自分の腑甲斐なさに、天井を見つめながら涙を浮かべていた。
すると、
ん?暖かい。。。
さっきまで何枚服を着ても治まらない寒さが嘘のようにポカポカしてきた身体。
翌日には学校へいける程に回復し、念願の本命チョコ?まで貰うことができた。
今思うと、机の引き出しが開き放しになっていたあの日から、夜な夜な押し入れからゴソゴソと物音がするようになったあの日から、何かが俺を助けてくれている、そんな気がする。
俺には見えないキミが何なのか、あえて詮索はしない。この不思議な共同生活が終わってしまいそうだから。
が、できるなら一言だけキミ伝えたいことがある。
『いつも、本当にありがとう。』
「もう、いつもドジなんだから。のび太くんは。」
怖い話投稿:ホラーテラー U3さん
作者怖話