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短編2
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リビング

創作話。

これは俺がまだ中学生の時に体験した話なんだけど。

学校から帰ると、玄関に見知らぬ革靴が踵をそろえて並べてあったんだ。

お客さんが来てるのかな~と思いつつも、リビングには行かず、直接自分の部屋に入ったと思う。

暫く自分の時間を過ごしていると、携帯にかぁちゃんから電話が掛かってきて

『おかぁさん今日仕事で遅くなるから、夕飯はUFO(俺の名前)君一人で食べてね』と

背筋がゾクッとした。

うちは、俺が物心つくまえから親父は家を出て行き、母子一人の母子家庭で育てられてきた。

かぁちゃんが仕事でいない今、客が来てるのはおかしい。

俺は部屋にあったバット(野球部だったので)を持って廊下に出た。

その日は土曜日で部活もさぼった。その為、まだ昼過ぎで、電気を付けなくても十分明るい筈だった。

リビングだけが、異様に暗い。

霊感が人一倍強い訳じゃないが、その時は明らかにヤバいと思ったんだ。何かは分からないが、絶対リビングには入ってはいけない気がした。

すると、パチッと音をたてて、リビングの電気がついた。

中からどうやら話が聞こえてくる。

ビビりだった俺は、高鳴る鼓動を抑えながらも、恐る恐るリビングの中を覗いてみたんだ。

息を呑んだ。

其処には極普通の『家庭』が存在していた。

更に、目を疑った。

その家の母親は、俺のかぁちゃんの若い時の姿に良く似ていたからだ。

野球中継を見てる男にも見覚えがあった。写真でしか見たことは無かったが、俺の親父に間違い無い。

とすると、横のベビーベッドで寝かされているのは、恐らくこの俺。

今、俺は14年前の光景を目の当たりにしている。

話してる内容はよく聞こえないが、どうやら夫婦喧嘩をしているようだ。

その喧嘩は段々エスカレートしていき

とうとう母親が親父の胸を包丁で突き刺した。

親父はもがきながら、崩れ落ち、息を引き取る寸前に、この俺と目があった。

俺は余りの恐怖で目を逸らすことも出来なかった。

そして、親父が俺を見て言った。

『これが、真実だぞ。その目に焼き付けろ!』

そうゆうと、その『家庭』は消えて、いつも通りのリビングに戻った。

恐らく親父は俺に真実を伝えたくて、あの光景を見せたのだろう。

でも、かぁさんを恨んだりはしない。

これからも二人で生きてゆくよ。と静かに誓った。

怖い話投稿:ホラーテラー くじらUFOさん  

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