その後、これらの出来事を家族に相談。父「家にばかりこもってないで外で身体を動かせ」、姉「すぐに心療内科に行け。二度と連絡してくるな」という有り難いお言葉。相手を間違えた。
友人たちに相談し、対策を練る。
私が遭遇した現象と、家で友人が見た出来事をまとめてみると、「忌々しいもので、家から追い出そうとするもの」と「何かを訴えようとしているもの」の大きく二つに分けられた。何か悪いものを招き入れてしまったのかも。
「私が家の主人だという強いアピールをしてみては」という友人の提案に従い、各部屋は開け広げ、現象が頻発する階段、洗面所には服やカバンなどの私物をそこかしこに置き、リビングは常に音楽をかけるようにした。
ラップ音のような、びっくりする音はすぐに止んだ。
足音や気配はしばらく続いたが、これも友人の勧めで家にいる際はすべての外窓を開け広げて網戸だけの状態にすると止むようになった。
家の現象が落ち着き始めると、留守を友人に託して私は幼なじみの家に1カ月寝泊まりすることに。当初、67キロだった私の体重は55キロまで減少していた。私自身、憑かれていたような状態だったそうだ。
今日までこの出来事は思い出さないようにして生きてきたが、ふと記録として残したくなったので投稿することにした。ほかにも忌々しい体験はあるが、今はまだ書く気にならないのでここではふれない。
後日、人にこの話をすると「そんな体験したならオカルトを信じるようになった?」とよく聞かれる。
答えは「否」。この世のものだと認めちゃうと、あの闇に飲み込まれそうだから。
あの頃はずっと、「絵本の中の絵と同じ。そこにあるけど存在しない(キューブリックの映画シャイニングのセリフ)」と反すうして距離をとり、理性を保とうとしていたと思う。
でも、洗面所の鏡に映った、スカートをはいた幼子の後ろ姿だけは今でも忘れられない。
作者Siek