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短編2
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横峯さん

どこかで聞いた話のアレンジです。

私が看護師になって二年目の冬に体験した話です。

その日は夜勤だったので、夜遅く家を出ました。自転車で深夜の住宅街を走っていると、

『おーい!今行くぞー』

と、横峯さんちのおじいちゃんが二階の窓から手を振ってきます。

『横峯さん、今夜は冷えるから、お布団に入ってなさい。』

横峯さんは以前私の通っている病院に入居してたこともあり、今では私がそこを通る度に、こうやって手を振ってくるのです。

その時はまだ、元気でなりよりと微笑ましくおもっていたんですが、その挨拶は徐々ににエスカレートしていきました。

『おーい今行くぞー!行くぞー!行くぞー!』

ある時、ふと、思ったんです。横峯さんはアルツハイマー(痴呆症)ではないかと。

以前胃癌で入院してた時も、時々痴呆の気が見えたのですが、その時は御家族の希望により退院していったんです。

しかし此処まで痴呆が進んでいると、流石に放っておく訳にはいきません。

私は横峯さんの旦那さん(息子さん)に事情を話し、入院を促したのですが、『お構いなく』の一点張りで聞く耳を持ってくれなかったのです。

それからも、夜勤でそこを通る度に、

『おーい!今行くぞ!』 と、相変わらず手を振ってくるのです。

ここまでくると、流石に私も怖くなり、次の日からは違う道を使うようになりました。

それから1ヶ月余りが過ぎた時。

ふと、横峯さんの事が心配になり、その日はあの道を通る事にしたんです。

横峯さんはやはり、私をずっと待っていたらしく、私を見つけるなり、窓から身を乗り出しました。

『ははは!今行くぞー!わはははははは!!!!』

と言った後、二階の窓からダイブしたのです。

その後、直ぐに救急車で運ばれましたが、首の骨が折れていて、病院に着いた頃には亡くなっていました。

今になって時々思うときがあります。横峯さんは、昔亡くなった奥さんと、私を重ね合わせていたのでしょうか?

『おーい!今から天国に行くぞー!!!』 と。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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